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第四章・5
「明日は、店を臨時休業にするから」
衛の寝室で、大きなベッドを前に早紀は意外な言葉を聞いた。
「どうして?」
「君の部屋を、作らなきゃならない」
衛の言うには、空き部屋が一つあるが、ほとんど物置になっている、とのことだ。
「片付けて、綺麗に掃除して。早紀くんが使えるようにしなきゃ」
「ありがとう、衛さん」
今夜は仕方がないので、一緒のベッドで寝よう。
衛は全く無防備で、早紀を横に寝そべった。
明かりを消して、天井を眺める。
(早紀くんのお父さん、無事だといいが)
可愛い我が子を置いて、姿を消さなくてはならなかった彼の無念を思うと、胸が痛む。
そんなことを取り留めなく思っていると、早紀が手を握ってきた。
「ね、衛さん。手を握っていい?」
「もうすでに、握ってるじゃないか」
笑いながら身を寄せると、早紀はひどく密着してきた。
いや、手のひらどころか、体に腕を回してきた。
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