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第四章・6

「お願い、衛さん。僕のこと、抱いて」 「どちらかと言うと、私の方が抱かれてるんだが」 「お願い、茶化さないで。僕と、エッチして」  早紀くん、と衛は息を吐きながら言った。 「君はもっと、自分を大切にした方がいい」 「経験なら、あるよ。だから、抱いて」  身を擦り付けてくる早紀の中心は、硬く張っている。 「辛い。僕、辛いよ。少しの間だけでも、忘れたいんだ」  これは迂闊だった、と衛は眉根を寄せた。  早紀の心傷は、あんこう鍋程度でごまかせるようなものではなかったのだ。 「……じゃあ、キスしてやるから。だから、すぐに寝るんだぞ」  その言葉が終わらないうちに、衛は早紀に口づけられていた。 「衛さん。……衛さん!」  早紀は、大人のキスを知っていた。  衛の唇を割り、その細い舌を差し入れてきた。  甘い香り。  柔らかな感触。 「早紀くん、これ以上は、いけない」 「早紀、って呼んで」  夢中でキスをしながら、早紀はパジャマを脱いでいった。

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