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第五章・7

「うぁう。うぅ、うぁ、あ……」 「大丈夫か?」 「ぅん……」  早紀は衛にしっかりとしがみつき、鼻を擦り付けた。  甘えた仕草に、衛も自然と笑みがこぼれた。  その体を傷つけないように、そっと引き抜き、もう一度キスをした。 「あ……」 「どうした?」 「今のキス、素敵」 「そうか」  後は、体液で汚れた早紀の体を、衛はていねいに拭いてあげた。  眠りの神が降りてきたところで、早紀は思った。 『恋人とか……、いるの?』 『恋人は、いないよ。どうしてかな、長続きしない』  その答えが、解ったような気がする。 (衛さんは、優しいんだ。優しすぎるんだ)  だから、怖い。  この人を失うことに、耐えられない。 「衛さん……」 「もう、寝なさい」 「僕を、恋人に。僕が、恋人に、なってあげ……る……」  それを最後に、早紀は眠ってしまった。 「えらく若い恋人が、できたもんだ」  にっこり笑って、衛は早紀の髪をかき上げた。  慈愛を込めた眼差しで、見つめた。  いつまでも、見守っていた。

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