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第六章 恋人準備中
翌朝、早紀は良い香りで目を覚ました。
「コーヒーの匂いだ」
ぼんやりと、今の状況が思い出されてきた。
僕は、衛さんの元で暮らすことになって。
昨夜、抱いてもらって。
そして、今。
「パジャマ来て、寝てる」
素裸のまま、意識を失うように寝入ったはずなのに。
「衛さんが、着せてくれたんだ」
やっぱり、優しいな。
パジャマのまま、スリッパを履いてキッチンへ行ってみた。
「おはよう。よく眠れたか?」
そこで早紀は初めて、熟睡していたことに気づいた。
泣きながら眠っていた時には、悪い夢をいっぱい見たというのに。
「ありがとう。すごくよく眠れたよ」
「そのまま朝食にするかい?」
「ううん。顔を洗ってくる」
そのまま早紀は、洗面所へ向かった。
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