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第七章・4

「僕、衛さんの恋人なんです!」 「え! そうなの!?」  ざわめく店内だ。  いつもなら、それぞれが勝手にスマホを操作している、静かな空間なのに! 「いえ、あの。それは、つまり」 「衛さん、そのうちバレるよ。早めに告白しておいた方が、いいよ」  そんな二人のやり取りに、周囲からは笑い声が生まれた。 「さっそく、尻に敷かれてるね。マスター」 「可愛い恋人くんじゃないか」 「大事にしないと、罰が当たる」  好意的な客の反応に救われた、衛だ。  だが、背中には汗をかいていた。  やがて客が去り、忙しい時間帯はクリアしたところで、衛は早紀を呼びつけた。 「さっきのは。あれは、ちょっと」 「何かな?」 「恋人です、っていうのは」 「だって、ホントのことだし」  けろりとしている早紀に、衛の心はブレた。 (早紀の方が、正しいのか? 私の考えは、固いのかな) 「そういう時はね、まぁいいか、って考えるといいよ」 「仕方がない。そういうことにしようか」 「うんうん。そういうこと!」  これでは、後ほどやって来るアルバイトの宮木にも、早紀は同じことを言うだろう。 (しかし、早紀がせっかく笑顔を見せているんだ)  注意したり、恋人であることを隠したりすると、落ち込むかもしれない。 (まぁ、いいか)  そう考えると、確かに一歩前へ出られる。  衛は、魔法の言葉を一つ、早紀から教えてもらった。

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