54 / 145
第八章・4
早紀を、先輩として見守っていかなければ、との責任感が秀一には生まれていた。
だがしかし。
(……ん? 早紀?)
『今、早紀は傷ついた心を抱えてるんだ。少しの失敗は、許してやって欲しい』
呼び捨て?
(まさか、早紀くんとマスターは!?)
「ね、早紀くん。マスターと早紀くんって、どういう関係?」
「あのね。おととい、恋人になった」
「え!?」
少し頬を染めて、うつむき加減な早紀が可愛い。
(も、もうエッチとか、したのかな)
しかし、それを訊ねるには、もう少し距離を縮めてからの方がいいだろう。
一人であたふたしている秀一を置いて、早紀の方からいろいろと訊いてきた。
「宮木さん、大学って楽しい?」
「今は少し、余裕ができたかな。二年生までは、みっちり勉強したよ」
「恋人とか、いるの?」
「え? まぁ、ね」
「宮木さんの第二性は、何?」
「ベータだよ」
そんな会話で、休憩時間はあっという間に過ぎて行った。
ともだちにシェアしよう!