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第八章・4

 早紀を、先輩として見守っていかなければ、との責任感が秀一には生まれていた。  だがしかし。 (……ん? 早紀?) 『今、早紀は傷ついた心を抱えてるんだ。少しの失敗は、許してやって欲しい』  呼び捨て? (まさか、早紀くんとマスターは!?) 「ね、早紀くん。マスターと早紀くんって、どういう関係?」 「あのね。おととい、恋人になった」 「え!?」  少し頬を染めて、うつむき加減な早紀が可愛い。 (も、もうエッチとか、したのかな)  しかし、それを訊ねるには、もう少し距離を縮めてからの方がいいだろう。  一人であたふたしている秀一を置いて、早紀の方からいろいろと訊いてきた。 「宮木さん、大学って楽しい?」 「今は少し、余裕ができたかな。二年生までは、みっちり勉強したよ」 「恋人とか、いるの?」 「え? まぁ、ね」 「宮木さんの第二性は、何?」 「ベータだよ」  そんな会話で、休憩時間はあっという間に過ぎて行った。

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