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第八章・5
午後17時に、秀一は仕事から上がった。
「じゃあ、今日は少し早く終わらせてもらいます」
「ああ。今日もありがとう」
バッグを手にした秀一に、早紀は素朴な疑問を投げかけた。
「今日は早く、って? いつもは、もう少し長いんですか?」
「今夜、コンパがあるんだ」
いってらっしゃい、と手を振る衛につられて、早紀も手を振り秀一を見送った。
「衛さん。コンパ、って何?」
「仲間同士の飲み会、ってところかな」
「いいなぁ、僕もコンパやりたい! 衛さん、コンパしよう!」
「たった二人で、か」
それでも衛は、にこにことうなずいた。
いいとも、と笑った。
「今夜、コンパしよう。帰りに、居酒屋に寄るぞ」
「やったぁ!」
家族だけでなく、友達も失った早紀だ。
衛は、彼の父であり、友達であることを決意していた。
(早紀は、恋人と言ってるが)
そして私も、まんざらでもないのだが。
それでもやはり、まだ14歳も年下の少年を恋人認定はしづらい。
じっくりと愛情を深めていければ、と考えていた。
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