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第十一章・4
「秀一さん、大丈夫かなぁ。風邪でもひいたのかな?」
「顔色は、悪くは無かったが」
いや、青いと言うより赤かった。
「熱があったんじゃない?」
「体温計で、測らせるべきだったかな」
まさか自分たち二人が、秀一の不調の原因とは解らない。
「明日は店休日だし、ゆっくりと休めればいいが」
「そうだね」
クリスマス・イヴまであと4日。
明日、早紀は衛へのプレゼントを探しに出かけるつもりだった。
「ね、衛さん。明日、空いてる?」
「仕事中だぞ」
「お客様、2人しかいないじゃん」
ねね、と早紀はもう一歩衛に近づいた。
「よかったら、一緒に出掛けてくれないかな。買いたいものが、あるんだけど」
「いいぞ。車を出してやるよ」
「やった!」
それなら、と今度は衛が早紀に持ち掛けた。
「今夜、早紀は空いてるか?」
「空いてるに決まってるじゃん」
だったら、と衛は囁いた。
「今夜は、外で食事をしよう」
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