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第十一章・7
展望レストランなので、夜景が美しい。
「窓際で良かったかな。寒くないか?」
「ううん。エアコン利いてるから、冷気が心地いいよ」
そう言われれば、少し赤い早紀の頬だ。
衛は、日中の早紀の様子を思い出した。
「具合はいいのか? 熱を測った方が良かったんじゃないのかな」
「熱があったら、このレストランもキャンセルじゃん」
大切な記念日だから、少しくらいは無理をしたい。
(それに、失敗したのは別の理由だからね)
そしてそれは、実現した。
一流ホテルのレストランで、ディナー。
さらに、衛がバッグから何やら取り出している。
(プレゼントだ!)
早紀の胸は、躍った。
(婚約指輪だったら、どうしよう!)
だがしかし。
「さあ、食事にしようか」
「え? うん……」
まぁ、いいか。
お楽しみは、もう少し先に取っておこう。
二人の記念日が、前倒しで始まった。
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