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第十二章・2
(さすがに婚約指輪じゃなかったけど、嬉しい!)
「ね、衛さん。僕に、付けてくれる?」
「いいとも」
これまた慣れた手つきなのが気になったが、早紀は舞い上がるほど喜んでいた。
別に、慣れてたっていいんだ。
今この瞬間の恋人は、僕なんだから!
「ありがとう、衛さん」
「とても、似合うよ」
ブラックとナチュラルレザー、色はどちらにしようかと迷った。
そんなことを衛は言っている。
「ただ、早紀の髪は栗色だから。ナチュラルの方が似合うかと思って」
「そこまで考えてくれたなんて!」
ああ、もう!
いますぐここで、抱きついちゃいたい!
瞬間的にそう考えてしまった早紀だが、それはすぐに現実のものとなる。
「実は、このホテルに部屋も取ってあるんだが。行くか?」
「そんなの、行くに決まってるじゃん。泊るに決まってるじゃん!」
まるで早紀が予約を取ったかのように衛の手を引き、部屋へ向かった。
「おい、そんなに急がなくても部屋は逃げないぞ」
「この気持ちが、逃げちゃう! 今の気持ちのまま、衛さんを……」
ドアを開け、室内に入ると、早紀は衛を抱きしめた。
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