82 / 145

第十二章・4

「ね、待って。もう、するの?」 「せめて、寝るの、と言えないかな」  早紀は、先にバスを使いたいと訴えた。 「歯も磨きたいし、着替えたいし」 「私は今、このままの早紀を抱きたいんだが」 (何か衛さん、積極的!)  目を円くしていると、早紀は甘い口づけに襲われた。 「ん、ぁう。はぁ、う、んん……」  キスをしながら、器用に早紀のスーツを脱がせていく衛だ。 (な、何か、手慣れてる感じ……)  前の恋人にも、こんなことしたのかな。  そう思うと、切なくなる。 (じゃあ、僕も!)  夢中で腕を伸ばし、衛のシャツのボタンを外しにかかった。 「早紀は、そのままでいいんだよ」 「やだ。僕も、衛さんのこと、剥く!」  そうは言っても、すぐに息が上がって手がお留守になってしまった。

ともだちにシェアしよう!