88 / 145

第十三章・2

「衛さん、僕だるい~」 「昨夜は熱かったからな」 「衛さんが、僕のこと苛めた!」 「早紀だって、私をさんざん搾り取ったじゃないか」  そんな不毛な会話で始まった、朝。  動けない早紀のために、衛はルームサービスで朝食を用意した。  シャワーを浴びると少しさっぱりしたのか、早紀はよく食べ、よく喋った。 「ね、衛さん。僕、昨夜みたいなエッチ、初めて」 「爽やかな顔しながら、熟れたことをいうなぁ」  はぁ、とまだ熱い溜息をつく早紀だ。 「拘束されて、イかされっぱなし。挙句に抜かずの2発」 「人聞きの悪いことを言うなよ。手を握ってただけじゃないか」  それでも早紀は、悪びれずに笑顔だ。 「中出しされながら、愛してるよ、って言われたのも初めて」 「身も蓋もない言い方だな」 「ううん。嬉しかった。ホントに心から愛されてる、って感じた」 「……ありがとう」  そして早紀は、衛に囁いた。 「僕も、愛してる。衛さんのこと」  それは、今までで一番大人びた早紀の表情だった。  彼は衛の元で、少しだけ大人になった。

ともだちにシェアしよう!