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第十四章 涙のクリスマス

 12月24日、クリスマス・イヴ。  早紀は、意外な人間からプレゼントをもらっていた。 「メリークリスマス、早紀くん」 「え!? あ、ありがとう!」  まさか、秀一さんからプレゼントもらうなんて! 「いや、その。あまり深く考えないで。職場で、お世話になってるから」 「お世話になってるのは、僕の方なのに……」  包みを解くと、そこには肌触りのいい靴下があった。 「わぁ、きれいな色!」 「安物で悪いんだけど」  安物、だなんて。  おそらく、一足1,000円レベルの靴下だろう。  三足1,000円とは、訳が違う 「じゃ、じゃあ。僕も」  早紀は、バッグからサンタブーツを取り出した。  中にお菓子がいっぱい詰まった、片方だけの靴下だ。  本当は、休憩時間に秀一と二人で食べよう、と考えて買った品だが、急遽プレゼントになってもらうことにした。 「ありがとう。懐かしいなぁ、子ども時代を思い出すよ」 「な、何か、ごめん」  いや、とっても嬉しい。  そう、秀一は言ってくれた。

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