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第十五章・4
「でも、今からどうするの? アパートに帰れば、独りだよ?」
「大掃除でも、するさ。年末年始は、帰省するし」
「いいなぁ」
ぽつりと言った早紀の言葉が、秀一を動揺させた。
「あ、ごめん。何か、傷つけた?」
「え!? う、ううん。別に、平気!」
このマンションが、僕の家だからね。
そう言う早紀だが、実際どうだろう。
「ね、早紀くん。家族とは、連絡取れないの?」
「うん……」
「マスターは? あの人なら、連絡先知ってるんじゃないの?」
それには、首を横に振る早紀だ。
「衛さん、知らないって言ってた」
「そう」
本当だろうか。
(まさか、マスター。早紀くんを手放したくないから、嘘を……)
「でもね、父さんから連絡が来たら教えてあげる、って言ってくれた」
「そう、だよね」
いけない、と秀一は自分を叱った。
恩のある人を捕まえて、疑うなんて!
「早く、また家族と一緒に暮らせるようになるといいね」
「うん」
その後は、少しだけ無口になった二人だった。
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