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第十五章・6
いけない。
(俺、早紀くんのこと、気になってきてる!)
愛らしい容姿に、明るい性格。
世話焼きの、優しさ。
「あ、あの、さ。早紀くんは、マスターのことが、好きだよね」
「うん。好きだよ」
「ど、どこまで、いってるの?」
「え!?」
それはつまり、こうだろう。
秀一は、早紀と衛が体の関係を結んでいるかと、訊いているのだろう。
早紀は、途端に暑くなった。
「そ、それを言うのは、恥ずかしいな……」
「ごめん。俺、変なこと訊いたね」
早紀はイエスと言わなかったが、それを聞かなくても解る。
(恥ずかしい、ってことは。ヤッてる、ってことだ)
秀一は、焦って立ち上がった。
「あの、俺、もう行かなくちゃ」
「もっと、ゆっくりしていっていいんだよ?」
「いや、早紀くんも、メビウスに行かなきゃならないし」
「それは、そうだけど」
ホントに平気?
早紀は、秀一の顔を覗き込んだ。
(顔、近いよ! 早紀くん!)
「じゃあ、途中まで一緒に行こうよ」
早紀はそう言い残すと、自分の部屋へ身支度に向かった。
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