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第十六章・6
「衛さん、来年もまた、一緒にお正月迎えようね。お雑煮食べて、初詣に行こうね」
「ありがとう、早紀」
そこでようやく、衛は安心したように早紀に口づけた。
「ん、衛、さん……」
「早紀、愛してる」
ちょっぴり弱気な、衛さん。
どうしたのかな。
僕は、どこにも行かないのに。
(父さんから、年賀状が来たから、かな)
父が戻れば、どうなるだろう。
(僕、父さんとまた暮らしたい。でも、衛さんとも離れたくない)
なんだか急に、早紀も不安になって来た。
「ん、ふぅ、んん。ぁん。っく、ぅん……」
不安を振り払うように、早紀はキスに溺れた。
温かな衛の舌を感じ取り、必死で舐めた。
「ね、衛さん。早く僕のここ、苛めて」
「ああ、そうするか」
「っん、うぁあ……」
慌ただしく胸の乳首に移った衛の舌は、自在に早紀を翻弄した。
「あ、あっ、あッ。くぅ、う。あぁあ……」
鼻にかかった甘い声が、響く。
深く、熱い息が吐かれる。
(あと何回、こうして早紀と愛しあえるんだろう)
そう思うと、今この行為が尊いものに思えて仕方がない。
衛は、夢中で早紀の体を拓いていった。
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