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第十七章・2

「秀一さん、チョコ欲しい? 僕、バレンタインデーにプレゼントするよ」 「いいの?」  早紀の手作りチョコがもらえるのなら、こんなに嬉しいことはない。  それがたとえ、義理チョコだとしても、だ。 「欲しいな、チョコ。ハート型のやつ」 「いいよ」  早紀の申し出に、秀一は一つの決断をした。 (俺からも、早紀くんにバレンタインのプレゼントを贈ろう)  そして……。 (告白を、いや、それは。やっぱり無理かな、でも)  一人で考えても、堂々巡りだ。  秀一は、ぼかして衛に相談することにした。 (マスターは大人だし、恋愛経験も豊富そうだから。きっと、アドバイスをくれるに違いない)  そう思い、打ち明けた。 「好きな人がいる?」 「はい」  秀一の告白に、衛は喜んだ。  以前の恋人とは、ひどい別れ方をしたのだ。  さんざん泣いた彼を知っている身としては、新しい恋には賛成だった。  だがしかし。

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