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第十八章・5

「お父さん、気持ちが落ち着かれましたら、少しあちらで話を。今後のことについて、です」 「そ、そうですね。申し訳ない」  紀明は早紀と共に静かにコーヒーを飲み干し、衛のいざなう休憩室へと場所を移した。 「早紀と宮木くんは、悪いけど席を外しておいてくれ」 「解りました」  僕は聞いちゃダメなの、と早紀は不満げだったが、秀一になだめられてカウンター席に着いた。 「きっと、大人の話があるんだよ」 「秀一さんや僕だって、大人なのに!」 「まあまあ。それより、バレンタインデーのプレゼントがあるんだ」 「あ! 僕も秀一さんに、チョコ作ったよ!」  衛の真の狙いは、ここにあった。  二人きりにすれば、秀一が早紀に告白しやすい、と考えてのことだ。  そして、その狙い通りに話は進んでいく。  まずは早紀が、秀一にチョコを手渡した。 「頑張って、作ったよ。ちゃんと、ハート型にしたからね」 「うわぁ、ありがとう。食べるのが、もったいないよ」  衛はすぐにチョコを口にしたが、秀一はそうしなかった。  大切に、もう一度包みなおしてバッグに収めた。 「じゃあ、今度は俺の方から」  秀一が取り出したのは、チョコと、もう一つの箱だった。

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