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第十九章・2
「実は私も、弓月の実家に帰ることになった」
「えっ!?」
「メビウスも、二月いっぱいで閉店するつもりだ」
「嘘!」
そんな。
やめて、みんな。
みんな、僕を置いて、どんどん先に行かないで!
「衛さん、僕は。僕はどうなるの!?」
「また、学校に通うんだ。何もかも、元通りにするんだよ」
メビウスの輪を一回りして、元の場所に戻った。
そう、考えればいい。
「そんな……」
もう、元の場所になんか戻れないよ。
だって、僕は。
僕は、こんなにも、衛さんのことを!
我が子の異常を、紀明は察した。
「早紀。弓月さんと離れることが辛いなら、二月末まで一緒に。カフェが閉店するまで、一緒にいても構わないよ」
それでいいですか? と、紀明は目で衛に訴えた。
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