53 / 63
※微 《乱される》23
そうは言っても、まだ雪成には和泉ほど、彼自身に触れたいという強い欲はない。させてもらえるなら、直ぐに抱きたいとは思うが。
この差は何なのかと思うところだが、こればかりは雪成には分からず、どうする事も出来ないものだった。
「なら、今夜は好きなだけ触ればいい。まだまだ時間はたっぷりあるからな」
部屋のヘッドボードのデジタル時計は、深夜一時を表示している。
気持ちいい事なら雪成もやぶさかではないにしても、秘かに己が発した言葉に驚いていた。
まるで受け身側を許しているような発言だからだ。
「でも挿れるのは無しなんだろ?」
「もちろん」
このまま寝てしまうのも勿体ないし、和泉の事を思うと誰か女を呼ぶわけにもいかない。だからこれは遊びの一環だと思って楽しめばいい。
そう自分に言い聞かせた雪成は、バスローブの紐を解いて、前をはだけさせる。露わになった雪成の白い肌に、和泉は目を細めた。
白いがひ弱な印象を与えないのは、適度に、そして綺麗に付いている筋肉のお陰だ。平 に見える胸板も、僅かに胸筋が付いている。ボコボコとくっきりとしたシックスパックも見事で、雪成自身もオメガの身体にしてはと、満足している。
和泉がそっと雪成の胸元に指を滑らせていく。
「じゃあ、遠慮なく触らせてもらうよ」
和泉の人差し指が小さな桃色の突起を引っ掻く。男なら先ず責めたい場所だ。だがこうして逆に責められる立場というものは、やはり違和感が拭えなかった。
「微妙な顔をしているな」
「当たり前だろ。普段は攻め側なんだから感じるわけない」
この後、この雪成の余裕の態度は、直ぐに粉々と砕け散ってしまうことになる。
「んぁ……やめ……もう……いてぇ」
執拗な胸への愛撫に、乳首が取れてしまいそうなほどにヒリヒリとしている。吹きかけられる息にも身体が反応してしまい、雪成は和泉にやめさせようと手で顔を押しのけた。
だが和泉にその手を掴まれた挙げ句に指を咥えられ、淫らにしゃぶられる。
「だいぶ感じるようになってきたな」
「感じてるんじゃねぇよ……。いてぇだけだ」
そう強がりのような発言をしてしまうが、自分でも分かっている。雪成が攻める立場なら、この受け身の反応には、和泉と同じことを言っているからだ。
和泉にもそれが分かっているようで、その口元には笑みがあった。
「あっ……」
不意打ちのようにツンと尖った乳首を舌の広い表面で舐められ、雪成は声を上げてしまう。
ビリビリと脳天まで突き抜ける痺れ。数分前まで何も感じなかった部位が、ここまで敏感になってしまう己の身体が怖かった。
そこから再び和泉の胸への愛撫が始まった。元は桃色だった胸も、乳輪から赤く染まってしまっている。
ともだちにシェアしよう!