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第5話 復讐代行
三崎に依頼されてから、1週間も経ってしまっていた。
前の仕事が片付かなく、陽葵のところに来るのが遅くなった。
相手の風貌を聞きそびれたコトに気づき、報復を頼まれているコトを伏せ、相手の男がどんなヤツなのかを聞こうと陽葵の家を訪れた。
インターフォンを鳴らしても出ない陽葵に、勝手に上がり込んだ。
ベッドの中に居るのは陽葵ではなく、見ず知らずの男だった。
パンツ一丁で涎を垂らし寝こける男に、顔が歪む。
たぶん、この男が三崎の言っていた陽葵にまとわりついている輩だろうと踏んだ。
騒がれるのも面倒だと思い、その口をガムテープで塞いだ。
息苦しさに伸びてくる手を掴み、こちらもガムテープで軽く束ねる。
「……ん」
不満げに唸った男が目を覚ます。
眉根を寄せ、眩しげに押し上げられた目蓋の奥から茶色の瞳が覗いた。
焦点の合わない視線が、ふわりと揺らぐ。
「可愛い顔して、やるコト、えげつねぇのな?」
状況を確認しようと、周りを見渡そうとする顎を掴んで、無理矢理に視線をかち合わせた。
「女に手ぇあげるより、もっと興奮するコト、教えてやるよ」
にたりとした下衆な笑顔を浮かべた俺に、起き抜けの瞳を大きく開き、顔一杯で驚きを露にする。
下着一枚を隔てた先、寝起き特有の生理現象で、硬くなっているソコをやんわりと握った。
「ンッ………?!」
急な刺激に痺れる下半身と、驚きに固まる上半身。
逃げようと蠢く身体に、くつくつとした笑いが漏れた。
三崎にフラれ、気持ちの整理がつかず、むしゃくしゃとしていた頃。
復讐代行のターゲットとなった男が、俺好みの容姿だった。
殴る蹴るの暴力で痛めつけてやろうと思っていたのだが、“犯す”という選択肢が頭に浮かんだ。
男に犯され、喘がされる屈辱。
ズタズタに引き裂かれた自尊心が、波に浚われた砂の城が如く崩壊していく。
暴力で傷つけるよりも、自尊心をへし折ってやる方が手っ取り早く、効果的だった。
その傷を背負いながら生きていくこれからの方が、何倍も相手を追い詰められた。
今回も、好みのタイプでなければ、予定通りボコボコにして追い払うつもりだった。
だが、あまりにも俺の性欲を煽る見た目に、食指が動いた。
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