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第6話 へし折るために、それはある

 形を確認するように、ゆるゆると擦り上げる。 「んっ……んん、……」  身体の前で拘束されている両手で俺の胸を殴り、離れようと暴れる。  自由の利かない拳で殴られたところで、痛くも痒くもない。 「男のプライドへし折ってやるから、覚悟しろよ?」  じわりと沸き上がっている涙の奥で、男の瞳が揺れる。  助けを乞う子犬のような表情が、俺を見上げた。  堪らなく、煽られる。  愛おしい存在を愛でる行為とは程遠い。  性的な欲求を解消するために、抱くわけでもない。  陽葵を傷つけられたコトへの復讐として、もう2度と近づいてこないように牽制するために、こいつの自尊心を蹴散らす。  痛めつけるための行いなのに、胸の奥が熱くなる。  “反省してます”と訴える姿に、可哀想だと感じないわけじゃない。  でも、先に悪事を働いたのは、この男だ。  女に手を上げるような卑劣なコトをするこいつを、簡単に許すつもりなど微塵もない。  俺の手が蠢く度に、ふーふーと鼻から荒い息を吐き、身体をびくつかせる。 「男に弄られて興奮してんの?」  くつくつと笑う俺に、目の前の現状から逃れようと、男は(かぶり)を振るう。 「さて。そろそろ俺も気持ち良くさせてもおうかね」  ペニスを掴んでいた手を離し、強引に下着を引き抜いた。  ぶるんっと勢い良く飛び出したペニスが、男の腹を打つ。  溢れたカウパーが、腹との間にねっとりとした糸を引いた。 「びしょびしょに濡らしやがって。吐き出したくて、くぱくぱしてんじゃねぇか」  しっとりと濡れそぼつ肉棒を掴み、パンパンに張り詰めている先端を親指でぐりぐりと捏ね回す。 「ふ、ん……んンっ………」  だらだらと涎を垂らすペニスを、俺の手に押しつけるように腰を跳ね上げる男。 「こんな下品に腰振って…。恥ずかしくねぇの? 動物かよ」  ペニスを緩く扱き上げながら、空いている手で尻を揉む。  俺を突き放そうと足掻く拘束された両手は、縋るようにシャツを掴む。  きゅっと締まる孔を指先で擽り、ぐっと押し込むように力を入れた。 「…ッ! んーっ」  ほんの数ミリ飲み込まれた指先が、きゅっと締められ、追い出された。 「力入れてたら、痛ぇのお前だぞ?」  押し戻された指先に、再び力をかけ、窄まる孔を抉じ開ける。 「…んっ、…んんっ」  男の瞳から、ぼろりと涙が溢れた。 「俺は別に裂けようが、血だらけになろうが構わねぇけど?」  頭を振るった男は、ふんふんと鼻を鳴らしながら、必死に身体の力を抜こうとする。 「ははっ。イイコイイコ」  ペニスを扱いていた手を離し、汚れたままの手で男の頭を撫でてやる。  ぐちゃぐちゃの泣き顔を曝しながら、俺に救いを求める。  自尊心も羞恥心もかなぐり捨て、恐怖から逃れたい一心で俺に縋る。

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