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第11話 一瞬の出来事
陽葵の家は、2DKのアパートだった。
当たり前だが、ベッドはシングルサイズがひとつしかなかった。
大きいオレでは完全に身体が溢れるが、陽葵なら2人掛けのソファーでも収まるからと、ベッドを譲られた。
遠慮したが、どうせいつもソファーで寝ちゃってベッドなんて殆ど使っていないからと、オレが使うコトで落ち着いた。
家について早々に、オレの家出荷物を広げられる。
数枚しかない下着とシャツは、“臭っ”と顔を顰められ、洗濯機に放り込まれた。
普段は、仕事場で支給された作業着のまま過ごしていたが、ここでは帰ってきた瞬間、身ぐるみ剥がされ、風呂場へと押しやられた。
オレのサイズに合う部屋着など、あるはずもなく、シャワーを浴びた後は、下着1枚でベッドに潜り込む。
口を塞がれ、両手を拘束され、目が覚めた。
現状を理解するのに、時間がかかった。
オレを犯す肉棒が、ずるりと引き抜かれ、閉じようとする孔を再び抉じ開けられる。
ぞわぞわとした感覚に、鼻から媚びるような音が零れた。
……陽葵の、恋人か?
身長差はあまり無さそうだが、細身のオレに比べ、しっかりと筋肉がついている男は大きく見えた。
こいつの方がボディガードに向いてるじゃん。
なんで、オレなんかに頼んだんだろ……。
きゅ…っと、胸に痛みが走った。
目の前の男が陽葵の…、他人のものだとわかると、なんだが心が寒くなった。
中を擦り上げられ、突き上げられる度に、意識が散っていく。
意識と一緒に、心が削られていく気がした。
無駄に拍動する心臓も、きゅんとなる胸も、興奮に包まれている身体も。
こんなコトをしているせいでもなくて。
もちろん、恐怖からでもない。
一瞬にして、オレはこいつに撃ち落とされていたのだ。
レイプ犯に惚れてしまう自分の残念感は否めないけど、認めてしまえば、腑に落ちた。
一目惚れして、一瞬で失恋した……。
「男に掘られて感じるって、どんな気分?」
オレを揺さぶりながら、黒く笑う男に胸がきゅぅっと鳴った。
男の顔を見ているコトが辛くなり、腰から上を捻り、シーツを掴む。
「逃げんなよ……」
こんな状態になっても逃げ出そうとしていると思われたらしい。
暴れたオレに、ずるりと男のペニスが抜けた。
半身になった身体を、そのまま押さえつけられ、俯せにベッドに押しつけられる。
尻たぶ捕まれ、ぐにゅりと左右に押し開かれた。
「閉じなくなっちまったな」
くつくつとした笑い声と共に、再び男のペニスがずぶずぶとオレの中へと押し込まれる。
「ん……ん、…」
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