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第95話 玩具にすら嫉妬する

 玩具にすら嫉妬している自分がいた。  こんな状態で、羽雨が他の男に抱かれるものなど、撮影できるはずもない。  手にしていた携帯を放り、イラつく感情のままに、押し込んだ玩具をずるりと引き抜いた。  食むものを失った孔が、物足りなげにくぱくぱと、せがんでくる。 「今、挿入れてやるよ」  前を寛げ、血管を浮き上がらせるほどに興奮を示すペニスを、そこに押し当てた。  吸いついてくるアナルに、ぐっと腰を押し進めれば、亀頭がぐぷりと飲み込まれる。  勢いのままに、俺のペニスが、ずぶずぶと中へと飲み込まれていった。 「ぁ、あ……ゃ、あ……ひ、ひぅ………」  背を仰け反らせた羽雨の身体が、震える。  もっと、とせがむように絡みつく内襞に、びくびくと跳ねる羽雨の身体を押さえつけ、更に奥へと捩じ込んだ。 「はっ………、持ってかれそ」  うねうねと蠢きながら、俺自身を柔く締めつけてくる中に、何もかにもが持っていかれそうだった。  ただ挿入れただけなのに、吐き出したくて堪らなくなる。  俺のペニスが、どくんどくんと存在を主張し、無意識に腰が揺らいだ。  射精感を()なそうと、軽く腰を引く。  羽雨の身体が、びくりと揺れ、その手が腰を掴む俺の手首に縋る。 「ゃ、………いゃ…ぁ…」  頭を振るった羽雨の指先が、小刻みに震える。 「抜かねぇよ。お前の中が良すぎて、すぐイッちまいそうなの」  情けなく告げなくてはいけない現状に自嘲しつつ、靭やかなに揺らぐ背に唇を落とす。 「………ひ、ぁん」  ぎゅんぎゅんと俺を締めつけてくる羽雨の内襞に、ぐっと奥歯を噛み締める。 「だから、少し…緩めろ、…って」  羽雨の尻を、むにゅりと掴む。 「む、ぃ……ぁ、はっ…ぁあ………」  涙混じりの鼻声で、どうしようもないのだと羽雨は、びくんびくんと身体を跳ねさせる。  可愛くて、いやらしくて、堪らなく…愛おしくなる。  鮮やかに羽雨を飾る白いユリに触れ、耳許に唇を寄せた。 「これは俺のもんだっていう、証だ」  声に反応するように、きゅうっと俺を締めつけてくる。 「今まで通り、お前はタチでの出演だけ、な。こんな可愛いお前を誰かに見せて、たまるかよ」  言葉と共に、奥を穿つ。  喉奥で啼いた羽雨のペニスから、白濁した粘液がシーツに弾け飛ぶ。 「ぁ………、ぁ…う…ィッた………ぃ、ぁ………」  昇天した羽雨は、イッたのに解放されない快楽の渦の中で、ぐずぐすと涙塗れの喘ぎを零す。

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