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第96話 俺だけでいい

 刺青の上から滑らせた手で、羽雨の萎えないペニスを握った。  どくどくと激しく流れる血脈を、掌に感じる。  その先端からは、だらだらと粘つく液体が溢れていた。 「俺、まだだし。…お前が枯れるまで、抱き潰してやるよ」  根本まで、ぐっぷりと飲み込まれた肉棒で、ぐにぐにと中を捏ねれば、羽雨のペニスからは濁った液体が力なく吐き出された。  俺に揺さぶられ続ける羽雨は、はぁはぁと荒い呼吸の合間に、往なし切れない喘ぎを零す。 「ぁ、…ゃ、あ…………」  奥を小突きながら、だらしなく涎を垂らし続ける羽雨のペニスを弄る。  出口を塞ぐように親指を押し当てたところで、ぬるぬると滑り、新たな刺激を与えるだけだった。 「…ひ、ぁ………」  過ぎた快楽に、涙混じりの啼き声を上げながらも、羽雨は俺のために身体を開く。  行き止まりだと思っていた場所が柔らかく蠢き、ぐぽんと俺の亀頭を飲み込んだ。 「ひん…………っ」 「………っく」  堪らない衝撃に、息が詰まった。  先端が包まれ、吸いつかれる。  腰を引けば、奥の窄まりにきゅうっと締めつけられながら、引っ掻くようにそこから抜ける。 「ぅ……ぁ、…あ………っ、はぅ…」  熱に浮かされた声を零しながら、もう一回と言うように、羽雨の尻がすり寄ってくる。 「…挿入れる、ぞ?」  再び押しつける俺に、ぐぷっと先端が飲み込まれ、吸いつかれる。 「ぁ、あ……」  撫でるように腰を回す俺に、羽雨の身体が下品に揺らぐ。  握っている羽雨のペニスからは、ぷしゃぷしゃと無色透明な液体が、勢い良く吐き出された。  その度に、きゅんきゅんと俺の竿も締められる。  先端が抜けない程度に腰を引き、抉るように押し戻す。 「ひ、ぁ、あ、ゃ………」  奥と入口が違う圧力で、俺のペニスを舐めしゃぶる。 「ぁ………、くっ」  堪らず、俺のペニスから精液が弾け飛んだ。  腹に感じる熱さに反応した羽雨の身体が、きゅうっと俺を締め上げる。  1度では吐き出しきれなかった残滓をも、全てを飲み込ませたくて、俺は奥に(とど)まり、塗り込めるようにペニスを内襞に擦りつけた。  ずるりと引き抜くペニスに、芯を失った羽雨の身体は、どろどろに汚れたシーツに沈んだ。  録画状態のまま放った携帯に手を伸ばし、機能を停止させる。  シーツに埋もれたまま、荒く息を継ぐ羽雨の傍に座り、録画した映像を再生する。  始めの方は、それなりにきちんとした画角で撮影されていた。 「委員長への”お仕置き“は、止めだな」  動画を再生しながら零した俺に、体力の限界だというように、眠たげなとろんとした羽雨の瞳が、こちらを見やる。 「こんな可愛い姿、誰にも見せたくねぇ。これは俺だけもんだ」  動画が再生されている携帯を振って見せる俺に、羽雨は恥ずかしそうに顔をベッドに埋めた。  雄としての羽雨が誰の目に止まっても、かまわない。  だが、俺を狂わすこの姿は、誰にも見せてなどやらない。  これは、俺のもの。  お前が頼るのも、弱みを見せるのも、甘えるのも、俺だけでいい。

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