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1-4-1 リシェール・ラー・ルキウス ※ 強姦・触手

 気が付くと自室で目を醒ます。 「…私は…?」  眠る前に何をしていたのか、これから何をすべきなのか…思い出せない。  酷く頭が重い。  だが両親が死んだ今、やるべき事がたくさんある事だけは覚えていた。  重い頭を振って入浴を済ませると、玉座の間へ向かう。  ……今回は疫病は収まったらしい。  頭痛の種が一つ減った。 『今回』…?  私は何を考えているのか…。  奇妙な違和感を無理矢理頭の中から消し去り、執務を終えるべく執務室へ足を向けた。  数週間して学校が始まる。  授業は重要視してはいないが、軽い息抜きになる。  そんなある日、ライナック王国のウェルナート第一王子に裏庭に呼び出される。  彼は疫病を消してみせたらしい。  親密では無いが尊敬は出来る。  ……はずだったのだが…。 「俺は君を…恋愛的な意味で好きだ。」  そんな感情を持たれていたと知り、複雑だった。  憧れはあるが彼に対しそのような感情を抱けない。 「ご、御免なさい、私は…。」  断りの言葉を口にしようとしたら、ウェルナート『王子』の唇で封じられてしまう。  拒否しようにも力の差が歴然とし過ぎていて、されるがままになり、嵐が過ぎるのを待つしか無かった。  ようやく解放されたと思ったら、身体が運ばれ、倉庫のマットに倒される。 「お前の国を救ってやった礼ぐらい貰ってもいいだろう?」  私には受け入れるしかないと知る。  身体が引き裂かれるような激痛。  中に男に放たれるという屈辱。  心も身体にも与えられる苦痛に、なすすべなく悲鳴を上げる。  どれぐらいそうされていたのか、ようやく私の中から引き抜かれる。 「俺を拒否するんだろうな…。自分でしておいて、元の関係に戻るのは無理なんだよな。」  私の髪を流すように撫でながら告げられる言葉。  身体の一つも動かせない私は、合わない視線を虚空を彷徨わせている。 「だから……。」  そう呟くとウェルナート王子は私を氷浸けにした。  な…ぜ。  聞くことも叶わないまま私の意識は真っ暗になる。 「…っ…!」  ベッドで目が醒める。 「…ゆ…め?」  余りにもリアルな夢…。  何故ウェルナート王子?  学校が始まったが、ウェルナート王子に呼び出されるような事は無かった。 「リシェール王子、余り根を詰めるとお身体を壊しますよ。」  久し振りの学校の休みに、城で執務をしていた私に、心配そうな面持ちで告げる騎士ジェイ。  彼は弟サフィの従者。  サフィが学校へ行ってるため、滞っている仕事を私の所に持って来たところだった。 「有難う。このぐらいの対処は平気だ。」  そう口にしてお茶でも飲もうとしてソファーに身を移そうとすると、足がもつれた。  思ったよりも疲弊していたらしい。  ジェイがその身をを受け止めて、転倒を回避してくれた。 「済まない、助かっ……。」  唇がジェイのそれで封じられて、最後まで言えなかった。 「っな……何を…!?」 「貴方が好きです。」  ジェイは幼馴染みだった。  だからそんな目で見られていたと知りショックだった。 「済まない……。」  断る意を向けるとすぐに、身体が床に仰向けに押さえ付けられる。 「や…め…っ!」  なす術無く脱がされ全裸にされる。  その時あの夢がフラッシュバックする。  無理矢理引き裂かれ何度も中に放たれ……氷付けにされて死ぬ夢を。 「あ…ぁ…いゃだ、やめて……っ!」  滅茶苦茶に暴れると、脱がされた服で腕を一纏めに頭上で拘束される。  ジェイが狂暴になっている。  こんな顔見た事が無かった。  ジェイは懐から油の入れ物を出すと、私の後孔に手早く塗り込む。 「ゃ……ジェイ……やめ…。」  ウェルナート王子にされたそこが、まるで恐怖を憶えているようにひり付く。  …そして…ジェイが私の中を使い始めた。  物になってしまえば、それ程心は痛まないから。  終わると…ジェイに心臓を剣で貫かれた。  何故…?と問い掛ける視線を送るが、返事を聞く前に意識が暗くなる。 「心が手に入らないのなら……。」  その後色々な人物に襲われた。  他国の王子、教師と。  最後は必ず殺される。  そんな時、サフィが帝国に捕まってしまった。  闇を払えない今、無駄死にを防ぐため私は単身で乗り込むが、あっさり触手の魔物に捕まってしまい、服を溶かされてしまった。 「ん――っ!」  身体中を這い回られ、口に埋め込まれる触手に蹂躙される。 「んん――っっ!!」  粘液塗れにされた後孔に、太い触手が入り込み、尿道にも細い触手が突き入れられる。  乳首に這い回る触手が器用に、引っ張ったり捏ねたりしてくる。  同時に与えられる刺激に、何度も何度もイかされ続けた。  腹が膨れても尚、中に触手の液体が注ぎ込まれた。  意識が戻る。  後ろ手で縛り上げられ、全裸でベッドに転がされていた。  状況を把握する間も無く髪に手が伸びて来る。 「貴方がアレクシウス皇帝か?」  黒い髪、金の瞳の男は黙ったままで、私を窺うように眺める。 「弟を返して頂きたい。」  そうして暫く睨み付けていた。 「似ている……。」  無感情な言葉を紡ぎ、私の頬や首筋を撫で下ろしていく。  身をゾクリとさせながら、決して目を離す事の無いようねめ付ける。  目を離したら危ない気がしていたから。 「私の事なら好きにすればいい。弟を返して頂きたい。」  もう一度言う。  何となく私の言葉が耳に入っていない気がする。  不意に落胆したような表情で私に視線を向けた。  すぐに、私の後ろにアレクシウスは自分自身を突き刺した。 「……っ!!っ……!」  苦痛が強過ぎて叫び声が出ない。  屈する気は無かったが、身体が引き裂かれてしまう痛みに勝手に涙が溢れる。  何の気遣いも無く、無慈悲に抽挿されて中に出される。  痛い、苦しい。  その思いしか無くなり、助けを求めそうになる。  そして男の液体が自分の中に放たれる絶望で、悲鳴を上げそうになったその時……。 「ふっ……く…あっ…どう…して…っ。」  私はアレクシウスに首を締めて殺された…。  アレクシウスから目を離した瞬間だった……。  そこからは地獄だった。  サフィが拐われては助けに行ってアレクシウスに何度も殺されては、ベッドで目を醒ます。  救出の仕方を変えても何度も何度も。  時折他の人物に犯され、調教されて性奴隷にされたり、大勢の人間に輪姦されたり。  最後には必ず死んでしまう。  自分の誇りと責任感だけで何とか正気で居られている状況下でそれは起こる。  アレクシウスにサフィと共に捕らえられた監禁部屋で、サフィが私を兄では無く、一人の人間として愛してると告げて来た。 「兄上…抱かせて、お願い…。」  目が虚ろな事に気が付く。 「何かされたのか、サフィ!」 「心配無いよ、アレクシウス様は私を楽にしてくれた。もう内に秘める必要など無いって…。だからねえ、兄上……。」 「……っ!?」  ベッドに追い詰められて喉で悲鳴を上げてしまう。  初めて自分が弱気になっている事に気付く。  アレクシウスが私の心を壊そうとしている事にようやく気付いた。  全ては夢では無く……。  弟に抱かれた私は心を無くした……。  温かい光を感じる。  あの光を私が使えたら何か出来たのだろうか……。  鏡に私の姿が映る。  違う……瞳の色が私とは違って金色の…。  私は手を伸ばす……『助けて』と。  初めて弱気になり、他人に助けを求めた。  初めて他人に泣き顔を見せた。 『泣かないで……もう大丈夫…。』  その人はそう言ってくれた。  ああ、少し休もう……。  久し振りに安らぐ眠りを感じた……。  閉じていた目を開くと、アレクシウスの手が伸びてくる。  身体が引き寄せられるまま身を委ね、持っていた短剣をアレクシウスの心臓に突き立てる。  ピアスに偽装した短剣。  ウェルナート王子が柚希さんに、お守り代わりに仕込んでいた品だった。 「っ…柚……ではない、本物のリシェールか!またくびり殺してやろう!」  首が締められる。  苦しいが今度こそ! 「くっ…ブーストぉぉっ!!」  短剣に全ての光を何重にも付与し続ける。  苦しそうにアレクシウスは私の首から手を放す。 「お前にそれほどまでの魔力はなかったはず!」 「柚希さんがウェルナート王子と身体を重ねた時、私の身体に継承されたウェルナート王子の能力『魔力増幅』だ。」  私の剣がアレクシウスの闇の魔力ごと、心臓部の魔石を貫いた。 「柚希は……?」  虫の息なのに、凄い執着だ。  せめてもの情けで私は答える。 「貴方が柚希さんを契約で縛ったから、柚希さんは魂だけが囚われた。私の身体は空っぽになった。だから元通り私は入れ替わり戻る事が出来た。柚希さんは元の世界だ。」 「柚希をこちらに呼んだのは我だと知っていたか?」 「入れ替わったのも…もしかして貴方が?何故そんなに柚希さんを…?」 「柚希は我が花嫁。闇の神である我の花嫁であるがゆえ『生贄の花嫁』」と呼ばれてしまっているが。…それも昔の話だ。…っ…」  色々聞きたいことはあるが、時間がない。  私は『治癒』の魔法を展開すると、アレクシウスに向けて翳す。 「お前は治癒は使えなかったのでは?」 「これも柚希さんが、ジェイと交じった時、私に継承された力だ。」 「……あたたかいな。」  だが……先ほど魔力は出し切ってしまった。  魔力の消失と共に、治癒が中断される。  魔石を失った彼はただの人間、殺す必要が無いのだから。 「もう良い。この身が滅べば、また柚希に会えるかもしれない。」  私は黙って彼の消滅を見送った。  終わった…これでもう……。  衣服を探し出して身に付け城へ戻る。  サフィの迎えには兵を寄越した。  今は顔を見たくない。  人払いをした玉座の間で、一人私は号泣した。 「御免なさい、有難う……。」

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