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第16話
「力抜いて、じっとしてろ」
氷室が、優真の片脚を肩に担ぎ上げる。さらにベッドサイドからボトルを取り出すと、氷室はその中身を、優真の秘部に注ぎ始めた。良い香りがするローションだった。
十分潤すと、氷室は指を挿し込んできた。意外にもすんなり入って行くものの、恐怖心は消えない。息を止めてじっとしていると、氷室があやすように髪を撫でた。
「力抜けって。今からそんなじゃ、後が辛いぞ」
優しいのか残酷なのかわからない台詞を吐きながら、氷室は指を抜き挿しする。優真はぎゅっと目をつぶって、ひたすら耐えた。
やがて二本、三本と指が増えていく。いつしか違和感は薄れていた。氷室は、拡げるように指を動かし、ペニスや双球も同時に愛撫する。次第に不思議な心地良さが、優真の全身を支配し始めた。しかもそれだけではなく、躰が妙に熱い。
「はぁっ……、あっ……、何か、変……」
「媚薬が効いてきたな」
「媚薬!?」
もしかして、さっきのローションか。思わず目を開ければ、氷室は涼しい顔をしていた。
「安心しろ。初回だけだ。そんなもん使わなくても、すぐに自分から腰振るようになる」
言いながら氷室は、唐突に指を引き抜いた。
「あっ……」
優真は、呆然と氷室を見上げた。蕾の奥は熱く、じんじんと疼いている。これが媚薬の効果だろうか。めちゃくちゃにかき回されたくて、仕方ない。
「どうした?」
氷室が、薄く笑う。
「して欲しいなら、ちゃんとおねだりしてみろ。抱いてください、ってな」
優真は、唇を噛んだ。そんな台詞を口に出すなんて、屈辱以外の何物でもない。そもそも、抱いて欲しいなんて思っていないのに。それでも、このまま放置されるのは耐え難かった。
「――っ……」
氷室が戯れに、優真のペニスを揉みしだく。優真は、覚悟を決めた。目を伏せて、蚊の鳴くような声で告げる。
「抱いて、ください……」
「ああ、抱いてやる」
次の瞬間、後孔に熱く硬いものが押し当てられた。そして、一気に貫かれる。
「――ああっ……」
灼熱の塊が、優真の身を引き裂いていく。だが、覚えた違和感は一瞬だった。むしろ、待ち望んでいたものを与えられた喜びの方が大きかった。ぞわぞわと湧き上がる快感に、優真は身を震わせた。
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