17 / 70
第17話
「その顔、そそるな」
氷室は、リズミカルに抽挿を繰り返す。内壁を巧みに擦り立てられて、優真は喘いだ。
「ああっ……、あっ……、あああっ……」
その時、氷室の屹立の張り出した部分が、ある一点をかすめた。まるで電流が走ったような衝撃に、優真は目をむいた。
「ひゃぁっ……」
「そこ。野郎なら誰でも感じるツボだ」
氷室は、優真の脚を抱え直すと、胸に付くほど押し開いた。躰を二つに折り曲げたような体勢にして、先ほどのポイントをしつこく突く。気が狂いそうな悦楽に、優真は再び涙ぐんだ。
「ああっ……、あっ、氷室さ……、もう、止め……」
「名前で呼べよ。お前は、俺のイロだろう?」
激しく腰を打ち付けながら、氷室が言う。息を弾ませながら、優真はどうにか言葉をつむいだ。
「徹司、さ……」
「合格」
くしゃくしゃ、と髪を撫でられる。同時に氷室は、腰をぐるりとグラインドさせた。
「――! ひぁっ……!」
次の瞬間、優真は盛大に精をまき散らしていた。ややあって、猛々しい雄が、ずるりと引き抜かれる。
「泣くほどよかったか」
氷室は、そっと顔を近づけると、優真の目尻に浮かんだ涙を舐め取った。
「……はっ、はっ……」
なかなか息が整わない。うっすら目を開ければ、氷室のガウンは半ばはだけていた。その胸元には深い傷痕が見えて、優真はドキリとした。彼がカタギの人間ではないと、改めて思い知らされた気がする。
だが、あれこれ考えている暇はなかった。休む間も無く、腕を取られ、躰をひっくり返されたのだ。後背位でのしかかられ、再び蕾に欲望をねじ込まれる。そこで優真は、ふと気づいた。傷痕を見せないよう、わざと後ろを向かせたのだろうか。
だが、深く思考することはできなかった。ドン、と激しく突かれたからだ。ポイントを執拗に嬲られて、躰はあっという間に熱を取り戻していく。
「あぅっ……、あっ……、あああっ……」
「優真……」
熱い肌で優真を包みながら、氷室は低くつぶやく。躰を揺さぶられながら、優真はぼんやり思った。
(もしかして彼は、本当は優しい人なのかも……)
ともだちにシェアしよう!