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第8話

 すんません、と城はわめいた。 「俺たちが付いていながら、立花さんを危険な目に遭わせてしまって! かくなる上は、指を詰める所存で……」 「わーっ。待ってください!」  とんでもない展開に、優真は焦った。 「結果的に僕は、怪我一つしてません。だから、彼らを責めないでください。お願いします!」  必死に氷室にすがれば、彼はため息をついた。 「仕方ねえな……。まあ今日の所は、勘弁してやる。だが、次にヘマやらかしたら承知しねえぞ。おい城、わかったな!」 「はい! すんませんでした!」  城が悲痛な声を上げる。他の五人も、それぞれ謝罪の言葉を口にしつつ、感謝の眼差しで優真をチラと見た。 「わー、社長、失礼しやした! 立花さんは、三階へお送りしようとしてたんですが……」 そこへ送迎の舎弟らが追いかけてきて、 ペコペコと頭を下げる。すみません、と優真も謝った。 「勝手に入って来てしまって……。でも、急ぎの話があったんです。今、いいですか?」  氷室は軽く頷くと、向坂に何事か囁き、踵を返した。

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