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第10話

「僕を襲った人たちは、どうなったんですか」  優真は思い切って尋ねたが、氷室はぴしりとはねつけた。 「お前は知らなくていい」 「……」 「でもあいつらは、もう二度とお前に手出しできねえ。だから安心してろ……。何だ、急ぎの話ってのはそれだけか? 律儀な奴だな」 「そりゃあ……。心配してくれたのに、ひどい態度を取ってしまったから。しかも、アパートを買い取ってまで……」  気恥ずかしくなり、優真はごにょごにょとつぶやいた。すると氷室は、けろりと答えた。 「だってお前、あのアパートを気に入っていると言っていたろう? その気持ちは尊重してやりたかったんだ。ほとぼりが冷めたら、戻ればいい」 (そこまで考えてくれてたんだ……)  感嘆していると、氷室は何気なく続けた。 「ま、本来ならマンションの一つも買ってやるところなんだがな」 「マ、マンション!?」  優真は目をむいたが、氷室は勝手に話を進めている。 「いや待てよ。アパートとマンション、両方というのもアリだな。マンションはお前の別宅ということで……」 「ちょっ、ちょっと待ってください!」  とんでもない計画が進みそうで、優真は焦った。 「どうして、僕なんかにマンションを?」 「可愛いイロに買い与えるのが、そんなにおかしいか?」  氷室は、平然と答えた。 「イ、イロって……」 「俺はお前が気に入った」  言いながら氷室は、スッと優真に近づくと、軽く頬を撫でた。

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