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第4話

 喫茶店を出ると、優真は時計を見た。舎弟らが迎えに来るまで、まだ時間はあるが、急ぐに越したことは無いだろう。  アーケードの外に出て、社会福祉事務所へ向かっていた、その時だった。 優真の背後から一台の車が、音も立てずに近づいて来た。優真の傍を通り過ぎようとしたその瞬間、車の窓が開いた。  パアン! (嘘だろ)  優真は、目の前で起きた出来事が信じられなかった。スモークガラスで覆われた窓の隙間から、何者かが発砲したのだ。ドサドサ、と抱えていたコーヒー粉の袋が落ちる。  優真は、辺りを見回した。通りには、他に人気は無い。撃ち抜かれたのは、優真の背後のフェンスだった。  車が停止する。優真は、とっさに走り出した。コーヒー粉は気になるが、それどころではなかった。殺される、そんな予感がしたのだ。  二度三度、と背後から銃声が響く。優真は、必死で走った。信じられなかった。こんな真っ昼間の街で、狙撃されるなんて……。

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