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第8話
「あ……、兄貴!? 何で……」
城は、自分の銃と氷室を見比べて、呆然とした表情を浮かべた。だがそれは一瞬で、彼は般若のような形相に変わった。激しい憎しみのこもった眼差しで、優真をにらみつける。
「何で、てめえなんかが! 俺の方が、ずっと兄貴のそばにいたのに! 十年、一筋に尽くして……。てめえなんか死んじまえ!」
再び、城が銃を構える。だが、向坂が発砲する方が早かった。弾丸は城の腕に命中し、彼は銃を取り落とした。
「城、てめえ、覚悟はできてんだろうな!」
うずくまる城に向かって、向坂が再び銃口を向ける。だがそこへ、氷室が一喝した。
「ここでは止めんか!」
二発の銃声を聞きつけたのか、わらわらと人が駆けつける気配がする。氷室は、一般住民を巻き込むのを恐れたらしかった。しかし叫んだことで刺激になったのか、またもや大量の血が流れる。優真はわめいた。
「徹司さん! そんなことより早く、救急車を……」
「馬鹿。そんなもん呼んだら、まとめてパクられるだろうが」
氷室は、撃たれた肩を押さえながら、舎弟たちに指示した。
「俺と優真を、例のとこへ連れてけ。さっさとしろ!」
「はい!」
舎弟たちは、氷室を別の車に押し込んだ。車はすぐに発進し、優真を乗せた車も後に続く。優真が最後に目にした光景は、城が舎弟らに取り押さえられている姿だった。
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