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LESSON14 side:佐伯 フィスト ※
ゆずを狙う隙が見当たらないままだった。
こうなるともう別な手段を選ぶしかない。
二人掛かりでのガードが厳しいのなら、ガードを一人にしてしまえばいい。
こちらに引き込んでやろうと考えて、リシェールの方を捕まえて来る事にした。
学園内部に買収した生徒を仕込んでいる。
鷹宮が居ない日に、二人が別れて行動しざるを得ない瞬間を狙った。
戦闘力はまだ俺の方が高そうだが、安全策を取ってスタンガンを使用させてもらった。
こうして捕まえて来たわけだが、リシェールは目を覚ましてから一言も発さず、顔を横に向けて目を閉じたままだ。
会話すらするつもりが無いらしい。
まあいい、頑ななのを崩すのもまた楽しい。
前の失敗を考えて、彼のスマホは学園に落として来た。
これでGPSでも辿れない。
「俺は平和的に話し合いをしたいだけだよ。君だって鷹宮からゆずを奪いたいんじゃないのかな。」
まるで反応しない。
以前の轍を踏まないように両腕はゴムで拘束している。
「…残念だ。出来るだけ友好的に関係を築いてあげたかったのだけどね。」
彼との関係は性的拷問でしか得られないようだ。
手全体をローションで浸すと、人指し指を彼の後孔に挿入する。
「……っ!」
少々だけ反応を見せたが、気持ち良さそうではない。
変化を見せないペニスを勃たせようかと思ったが、どうせこの先の行為で萎えてしまう事を考えると無駄だと考えて放置した。
指を動かして中をぬるぬるにすると、指を中指、薬指と追加する。
「まだ今なら間に合う。俺に付け。」
この先は安全を保証してやれない。
指を丸めるようにして小指まで挿入すると、流石に圧迫感を感じるようで、肩で息をし始める。
「最後だ。後は下手をすると括約筋が切れてしまう。俺に付くか?」
脅しを籠めて最終警告を口にした。
「……克兄さんがリシェールにこんな酷い事をしようとしてたなんて…。」
「っ!?ゆずなのか!」
前回の見分け方でわかっていたはずなのに、見分けられないなんて…。
「涼一さんの手解きで表情も真似するようにしていたから…。3日置きに交代で。」
ゆずは今まで見た事が無い、軽蔑の視線を俺に向けて来る。
「ゆずだったならこんな事はしなかった!」
ゆずの中から指を引き抜き、拘束を急いで解く。
「リシェールにだったらこんな酷い事を平気でしたって事ですよね?」
「ゆずを手に入れたいだけなんだ!」
「そんなの言い訳にならない。」
「もういい、ゆずをここから返さなければ目的は果たせるんだからな。」
俺がゆずを引き寄せようとしたその時、部屋の窓ガラスが照明器具ごと粉々に割れる。
真っ暗な部屋に黒いフードを被った男が不敵な笑みを以て室内に降りる。
「この周辺一帯を暫く押さえてある。何があっても騒ぐ者は居ない。」
恐らく鷹宮。
ゆずがそちらに行こうとしたので手を伸ばすが…。
「うっ…!?」
ゆずの瞳が暗闇の中金色に光って見えた気がして、思わず手を引っ込めてしまった。
鷹宮の元に駆け寄ったゆずをもう一度見ると、瞳は普通の色だった。
見間違いか?
「何故此処がわかったんだ?」
「リシェールと柚希は互いに位置が把握出来る。魂レベルでな。」
そんなことが実在するのかと、鷹宮の言葉が信じられないが、それ以上説明する気も無いだろう。
「佐伯、お前はやり過ぎた。もううちの子達に手が出せないように俺も本気で行かせてもらった。」
「何を…。」
「電話に出るといい。」
切っていたスマホの電源を入れると、ただならない着信件数。
留守電を再生すると…俺の会社は軒並み潰れているか買収されていた。
「元からお前は俺を潰すのは簡単だったわけか…。」
「ブラジルの会社だけ手付かずで残してある。行った方がいいんじゃないのか?」
ゆずは今は心配そうな表情を俺に向けている。
現状此処で勝ち目は無いと悟った俺は、二人を背にこの場を去った。
暫く、買収された会社が一部返ってきたりと、複雑な処理を強いられ、プライベートに時間が一切割けなくなった。
100%鷹宮が仕向けている。
わかってはいても何ら手段を講じられないでいた。
あいつは本当に人間なのか……?
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