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EX 柚希のバイト事情
side柚希
「だからあんただって欲しい物あるでしょ?」
「いいって!」
姉さんに呼ばれて家に行くと、いきなり結構な額が入った通帳と印鑑を差し出された。
去年は姉さんがまだ家に居たからお菓子や飲み物を買う必要が無くて、すぐに寮に入ったから食事にも困らず。
デート代は「男 が出すものだ」と涼一さんに言われたから甘えて。
子供の頃から貯めてたお祝い金やお年玉がまだ残ってるぐらいだし。
寮を出たし、姉さんは家を出たのでお金に困ってるだろうと心配されて今に至る…。
結局、自分の貯金の状態を伝える事で何とか姉さんが退いてくれた。
「って事があって。」
涼一さんの家に戻ると、何をしに行ったのか聞かれたので一部始終を話した。
即涼一さんが姉さんに電話する。
割りと早く電話を切ると、涼一さんが「幾ら必要だ?」と聞いて来た……。
「だから必要無いって。それに涼一さんからお金を貰ったら、援交みたいにならない?」
「柚希、援交ごっこするか!」
「二人きりの時にやれ!」
リシェールがまるで存在を無視されている気でもしたんだろう、涼一さんに怒鳴り付ける。
「リシェ様へのお布施という手もあるか…。」
「リシェール、要らないからね。宗教じゃないんだから…。第一、本当にお金が必要になったら僕だってバイトくらいするよ?」
「…柚希がバイト?駄目だ、却下だ!柚希がバイトなんかしたら客や同僚に襲われる!」
「涼一さん?どうしてバイトしただけでそんな事になるの…。」
「とにかくバイトは駄目だ。そうだ、柚希にこれを渡しておく。」
何でかバイト禁止になってしまった。
差し出されたのは黒いカード。
「これで足りなかったら柚希の通帳を作ろう!」
「…気持ちだけ貰っておくから落ち着いて?」
カードをそっと返しながら、バイトはしないと言って落ち着いてもらった…。
「そう言えば姉さんに何て言ったの?」
「柚希は俺の扶養家族になるから、金銭面でもちゃんと面倒見ますと言ってわかってもらった。」
「まだ結婚までだいぶあるよ?」
「婚約者なんだから同じだ。」
「うちの国では確かに婚約者は扶養して貰っているぞ?」
「それは王族や貴族ならではじゃないかな。」
とにかく涼一さんにも「困ったら必ず相談する」と言う結論で納得してもらった。
そんなに僕はお金無さそうに見えるのかな…。
まあ、姉さん、涼一さん、リシェールと比べたらね…。
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