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第2話

『大きくなったら鬼様のお嫁さんになる』。 そう言われ続けて十余年。 その『鬼様』に名前があるのを知ったのは、結婚式のほぼ直前だった。 道籠繋先輩。 ひとつ年上の、生徒会役員をやってる背が高くて女子に人気のある先輩。 体育祭の時に怪我をして保健室まで付き添ったあの人がオレの結婚相手だなんて。 しかも、先輩のお兄さんが急逝されたとかで先輩が次期頭領に指名されて、オレは絶対有り得ないって言われてたその妻として嫁ぐ事になってしまっていた。 『お前が向こうでする事はたったひとつ。お世継ぎを産み鬼様に付き従う事だ』 おじにあたる松若家の当主にそう言われたけど、オレはその前に結婚するという事をちゃんと受けとめきれずにいた。 そんな気持ちのまま嫁いだオレに、繋先輩は優しかった。 大切な御家族を突然亡くされたばかりで辛いのに、オレの心に寄り添ってくれた。 オレは会う度に先輩に惹かれていって、いつの間にか心の中は先輩でいっぱいになっていた。

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