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第4話
「おはよぉ〜!わぁ、いい匂い〜!!」
チロ先輩がやってきたのは、オレと先輩がセックスして、風呂に入って、食事の準備が出来た頃だった。
チロ先輩はきっと、いや、絶対オレたちが何をしてたのか分かってて、空気を読んでくれたんだと思う。
「雅美くん、いつも美味しいご飯、ありがとね」
「いえ……」
オレはチロ先輩の事が嫌いじゃないけど、好きでもない。
それはきっと、オレよりも繋先輩とずっと一緒にいて、先輩にとって初めての相手だからだ。
本当にくだらねー事だと思うけど、オレはチロ先輩が繋先輩と仲良さそうにしているのを見ると胸がズキッとして、苦しくなる時がある。
繋先輩の気持ちを知っているのに、嫉妬してしまうんだ。
「……可愛いなぁ。本当に繋の事が大好きなんだね」
繋先輩が食器を片付けてくれている間、ダイニングテーブルを拭いているとチロ先輩が言ってくる。
「止めて下さい、そういうの」
先輩は妖怪だから人の思いが聞こえるらしく、オレがさっき思っていた事に対して話してきたみたいだ。
「繋が幸せな事がボクの幸せ。ボクにとって繋は孫みたいな存在なんだ」
「…………」
チロ先輩は笑顔でオレに言った。
分かってる。
チロ先輩はオレと違う感情を繋先輩に向けてるって。
だけど……オレには埋められないふたりの時間がある事がどうしても気になってしまうんだ。
「あ、いけない、もうこんな時間。準備しなくちゃ」
「??」
妖怪から人間の姿に一瞬で変わると、チロ先輩は洗面所の方に小走りで向かっていく。
「繋、ボク用事あるから出かけるね!夜ご飯も食べて帰って来るから!!」
「おー分かった。気をつけてな」
「うん、じゃあいってきまーす!!!」
パーカーとGパン姿になったチロ先輩は慌てた様子で出ていった。
「さて、俺たちは部屋の掃除したらテスト勉強だね」
「はい……」
チロ先輩、人間の姿になってどこで何をするんだろう。
3人で暮らし始めてから、先輩は週末になるとほぼどこかに出かけている気がする。
誰かと会ったりしているんだろうか。
……恋人……とか。
そう仮定すると、オレは安心出来たんだ。
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