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第5話
「すんません、オレ、好きな人いるんで」
テストが終わって通常授業に戻った日の休み時間、オレはよく試合に応援に来てるっていう男の先輩に呼び出され、告白された。
それまでは女の子しか告白されていなかったのに、繋先輩と結婚してからは男の先輩にまで告白されるようになった。
「それ、道籠繋くんなんでしょ?」
「……」
毎回、『好きな人がいる』で終わってた話が、今日は初めて終わらなかった。
「絶対そうだと思ったんだ。どんなきっかけがあったか知らないけど、繋くんも君も一緒にいる時ものすごく幸せそうにしてるからね。親戚って話、付き合ってるの誤魔化す為の嘘なんでしょ?」
「……」
じゃあ何で告白してきたんだよ。
オレはだんだんイライラしてきた。
この人は結局どうしたいんだ。
オレと先輩の間に入れないって分かったんなら告白なんかしないで欲しい。
「……めんどくせぇ……」
耐えられず、思いが口から出る。
「アンタは結局どうしてぇんだよ?あぁ?」
思い切り睨むと、そいつは後ずさりしながら言った。
「い、いや、その、繋くんとの事が僕の勘違いで君がフリーなら付き合って欲しいなぁって。君のその腰、めちゃくちゃ色っぽくてたまんないし……」
「!!!!」
オレよりデカい身体をモジモジしながら話すそいつの姿は鳥肌ものだった。
同じデカいでも、繋先輩はかっこいいのに。
てか……。
「腰が色っぽいとか言われても気持ち悪いだけなんすけど」
「気持ち悪い……?君の事が好きな男たちはみんなそう思ってるはずだよ?男を知ってる腰だって……」
オレの言葉に、そいつは不気味な笑みを浮かべながら言った。
「ふ、ふざけんな!!だ、誰が……」
まずい。
昨日の夜セックスしたばかりだったから頭の中にその時の繋先輩の顔や声を思い出してしまって早口になってしまった。
「ははっ、そんなに焦って図星なんじゃない?」
「…………」
どうしよう。
結婚の事、知られてはいけないのに。
「おい」
「うわっ!!」
「何やってんだ?こんな所で」
「あらぁ、まぁちゃんじゃなぁい、困ってるみたいだけど、どしたのぉ??」
そこに現れたのは輝政先輩と奥さんのミナ先輩だった。
「お前、松若捕まえて何してんだ?」
「い、いや、その……」
「こんな人目につかない所でコソコソするのはダメよぉ、まぁちゃん怖がってるじゃなぁい」
逃げようとするそいつを、ふたりは阻む。
「ひぃっ、ご、ごめんなさぁぁぁい!!」
半泣きになったそいつは観念して白状した。
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