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「ルカのものになる?」
「違う世界とか、言ってる事が怪しいから放置もできねえし。現れ方から言っても、その変わった服からも、全部が嘘だとも思えねえし。 もしそれが本当だとしても、オレと移動してれば、いつか帰る方法もあるかもしんねえだろ?」
「――――……」
まあ。
……確かに。
「オレんとこには色んな情報が集まってくるし。良い考えだろ? ――――……それに、お前のせいで、魔王逃がしたんだし。魔王を倒すまで、この鬱憤晴らし、付き合えよ」
最後の方の、まだ、オレ的にはちょっと納得いかないセリフの時。
他の3人が、妙な感じで笑ったり、変な息を付いたり。何か雰囲気がおかしかった。
……何だろ?
3人に目をむけると。リアは、あーあ、という顔をして苦笑いしてるし。
ゴウはなんか、へー、と面白そうにニヤニヤしてるし。
キースは、ため息をつきながら立ち上がって、店の人に何かを頼みに行ってしまった。
「それとも、何も分かんねえこの地に置いてってもいいけど 1人になるの、あんまり得策じゃねえだろ?」
「――――……」
何も分からない訳じゃない。多分、ルカが知っている事は、大体オレも知ってる。
この世界の、隅から隅まで冒険済みだし、結構、どんな町がどこにあるかも分かる。
部外者でも町の一員にしてもらえそうな、結構大きくて、安全な街があるのも分かってる。……まあゲームの世界なら、だけど。……でもきっとそうだろうなと思うし。
でも、色々知識としては分かってるけど、オレには移動手段がないし、しかも町から町の間には魔物が出る。
魔王を倒せず逃がしてしまったから、当然魔物も、出てくるだろうし。
――――……ダメだ、やっぱり、1人で生きていける気が、全然しない。
もしかしたら、すぐ帰れるかもだけど。
もし万が一、しばらくここに居るとしたら、この人と居るのが、一番安全なのでは。
だって、勇者だもん。
かなり、性格に難があって、どう見ても優しくはなさそうだし、
魔物とかいたぶって殺すし、そのセリフがカッコイイとか、ゾクゾクするとか、変なファンが大勢居たけど、オレは全然好みじゃなかったけど。
そもそも、いつものRPGなら1回クリアした後、2巡目を絶対やるのに、この勇者が微妙で、やめようかどうしようかと迷っていた位、この勇者が、あまりにイマイチだったけれど……。
あ、脱線したけど……。
とにかく、曲がりなりにも、勇者だ。
この世界で、この人の側に居る位、安全な場所は、無いのかもしれない。
魔王を倒しに行く時とかは、さすがに置いていってもらえば。
普段出てくる魔物に、勇者がやられるなんてありえないし。
「……お願いします」
色々考えた末、そう言った。
「よし、オッケイ。じゃあ、お前、オレのモノな」
「……」
オレのモノ、とか。
……言い方は、気に食わないけど――――……。
「うん」
頷いた瞬間。
ふわ、と体が浮いた。
「え?」
抱え上げられた事に気付いて、唖然とする。
オレ、大体標準サイズ。
170センチ。58キロ。ちょっと細いけど、60キロ弱あるのに、
――――……軽々と抱き上げられるって一体…っっ。
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背後注意です(^^)。
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