10 / 293
「オレのモノって、そういうこと?」1 ※
「ソラ、頑張って。明日元気だったら、出かけようね」
リアが言う。
「ご愁傷様」
ゴウも、言う。
何? どういう意味?
「ルカ、これ使って。ソラにひどくすんなよ」
店の奥から持ってきた何かを、キースがルカに渡してる。
「……要らねえけど、こんなもん」
「絶対初めてだから。可哀想だよ」
「――――……」
ため息を付きながら受け取ったルカが、店員に声をかけける。
「上、宿屋だよな? 借りるぞ」
「はい、奥の部屋をどうぞ」
ルカは、見た目以上に、とんでもなく逞しいみたいで。
オレをまた軽々抱えたまま、階段を軽々と上っていく。
「自分で、歩けるんだけど……っ」
「じっとしてろよ。暴れたら放り投げるぞ」
「…………っ」
もう。何なの、この人、ほんとに。
いちいち、優しくないんだよっもう。
2階につくと、ルカは奥まで進み、ドアを開けた。
――――……ベッドがある。
ていうか。ベッドと、ちいさいテーブルしか無い、というのかな。
宿屋でもあるんだ、ここ。
――――……ていうか……。
……このベッドしかない所に、オレは、何で、連れてこられたんだろう。
逞しい腕に簡単に抱え上げられていたオレは、ベッドに放られた。
後ろに手をついて、体を起こす。
……何だ、この状況。
さっきのリアたちの言葉も、何?
なんだ、嫌な予感しかしないけど、それを信じたくなくて、
どうにか、ここに連れてこられた、別の理由を思いつきたい。
動けずにいるオレの前で、色々着てたり、飾り付けられていたりするものを、ルカはどんどん外していくと。
ぐい、と上の服を脱いで、上半身裸になった。
思わず見惚れる位、良い体。
腕や胸は筋肉がしっかりついてて、腹筋は完全に割れてる。引き締まってて、理想的な体。な気は、するけど。
つか、この人、何で、脱いでんのーーー????
もうなんか、さっきからする嫌な予感を増長させるだけなんだけどっっ。
ベッドしかない所に連れてこられて、ルカは、服を脱いで。
さらに、ベッドの上に放られたオレに、上半身裸のルカが近付いてくる理由。
…………そんな理由って、 この、嫌な予感の理由以外に、ある……?
嘘だよね、オレ、まさか今から――――……。
ち、違う、よね……?
ルカが膝を立てて、ベッドをぎし、と軋ませながら、オレの隣に来て、さっき、キースから受け取ってた、ふたつの小瓶の裏側をじっと見ている。
「まずこっちか。んなの無くても、その気にさせるけど――――……まあ、いっか。最初だけ、な」
「――――……」
その気って。
……その気にさせるって。
……なんなの、その、ピンクの怪しい、小瓶、2つ。
世界は、違うけれど。
ピンクの怪しい小瓶。
……嫌な予感を、倍増させるものでしか、ない。
ひとつを枕の横にぽい、と投げた。
手に残ったひとつの蓋を開けると、ルカがオレを見下ろした。
「ソラ、飲め」
口に、当てられる。
「……っ」
得体の知れない、嫌な予感しかしないもの、飲みたくない。
口を閉じたまま、首を小刻みに、振る。
「飲ませて欲しいか?」
「……いや、だ」
「お前、オレのモノになるっつったろ」
「……っそれって、どんな、意味――――……」
「オレのモノに何しようが、自由だよな?」
「……っやっぱり、やだ」
こいつの側が一番危険な気がしてきた。
無理。やっぱり無理。
こんなSな傍若無人な勇者……。
……そうだった! オレ、嫌いだったんだ! 2巡目悩むくらい、嫌だったんだ。
もう、オレの事は、この町に置いていってもらおう。
「オレ、やっぱり、1人で生き――――……」
言いかけたオレの唇は、その液体をぐいっとあおって自分の口に入れた、ルカの唇に塞がれた。
「……っぐ」
嫌だ、
何、飲ませようとして……。
口をひたすら閉じて耐えていると、鼻を、ぎゅ、と摘ままれた。
「――――……っっ」
息、できな――――……。
少し耐えたけれど、ぷは、と口を開いた瞬間。
ルカが液体を流し込んできて。
そのまま舌が、口の中に、遠慮も無く、入ってきた。
思っていたよりも、甘い、どろっとした、液体。
ごく、と、飲んでしまった。
飲ん、じゃった。
何、これ。
甘い。
「……んっ……」
そのまま、後頭部をでっかい手に押さえつけられて。めちゃくちゃ激しいキスをされる。
「……っは、ぁ……っ……ん……っ」
激しすぎて、息が、まともに、出来ない。
何なの、このキス――――……乱暴、すぎる。
……なんか――――…… 頭の芯が、痺れる。
息が、あがる。 苦しい。 おかしい、なんか――――……感覚が……。
「……っ……ん、……ふ……っ」
「――――……ソラ」
「――――……っあ……っ」
耳元で囁かれて、ゾクゾクして震える。
あの変な飲み物のせい、なのか。
キスがやばいから、なのか。
ともだちにシェアしよう!