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「やっと脱出」

 オレが、心の中で散々罵倒を繰り返しているのを知る由もない、ルカは。  さらにとんでもない事を言った。 「んー……ちょっと勃ちそうなんだけど、どうする? またするか?」  つか、その質問に、オレが頷くとでも思って聞いてンのかよっっっ!  頷くかー!!  「っい、今したら、オレもう、お前のものなんて、やめるから」  そう言ったら。  面白そうにニヤニヤ笑ってたルカが。  す、と笑いを引っ込めた。 「へえ……生意気」 「…………っ」  …………っちょ、ちょっと怖いけど。  でもやだやだやだやだ、絶対、もう今は、やだ!!  オレの一日が、全部それだけで終わるなんて、  いくら、夢だろうと、ぜっっったい嫌だーー!   と、心の中で叫んでいるのだけれど。  目の前のルカがちょっと怖くて、言えない。  くる、と体反転させられて、ベッドに組み敷かれる。 「最後までそんな事、言えてると良いなあ?」 「………………っっ」  もうやだ。こいつ、ほんとにやだ。  またキスされそうに、顔が近づいた瞬間。  どんどん!!とドアが叩かれた。 「おい、ルカー! どんだけヤってんだよ! 残りの町、行くぞ!」  ゴウの声。  うん。ゴウもデリカシーが無いっていうのは、この一瞬の一言で、分かった……。  ルカは、ふう、と短く息を付いて、オレを離した。 「……下で待ってろ、今行くから!」  やったー! 助かった。  デリカシーなくても、ありがとう、ゴウ。 「付近の町、見回りに行く。――――……ソラ、行くか?」  体。だるい。  ……でもなんか。1日、ベッドもやだな。 「……行く」 「ん」  ルカは、さっき食事前に着させたくせに、あっという間に脱がせたワンピースみたいな服を、オレの頭からすっぽりかぶせた。 「あと、これ、下にはいて」  ベッドの下の方に置いてあった布を渡される。  パンツみたいなものかな。思いながらはき終えると、ルカに引き寄せられて、青い紐みたいなので、ウエストをきゅ、と締められた。 「あと、とりあえずこの靴はいとけ」  サンダルみたいな靴を履かせられて、立たされる。  上から下までざっと視線を流して。ルカは二ッと笑った。 「それなら、他の世界の奴とは思わねえよ。結構似合うな」  ――――……ちょっと褒められた。  こんな奴でも、ちょっと嬉しい。  なんか着慣れない服の感じ。よく考えたらこれって、スカートみたいなもんだもんな。  足、超、ス―スーする……。 「ほら、来い。行くぞ」 「あ、うん」  ドアを開けて振り返るルカの後について、やっとのことで、散々な目に遭った、この寝室を出られた。  外の世界に、すっごくワクワクしながら。

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