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「オレも行くの?」

 朝食。  いつも通りのご飯だ。  うん。  美味しいけど。うん。  モグモグひたすら食べてると。  横で、ルカがクスクス笑った。 「お前って、いつも、一瞬、固まってから食べ始めるよな? 何で?」 「……いや、色がね」 「色?」 「……オレが作ったご飯、楽しみにしてて? 上手くできたら、分かってくれると思うから」 「ふうん? まあ、楽しみにしとく」 「うん」  返事をして、続き、食べてると、皆が今日の話をし始めた。 「とりあえず、食べたら出発して、探しながら、登るか」 「そうだね。途中に居なかったら最悪山頂までのぼるしかないかな」  ルカの言葉にキースが答える。  ふむふむ。山頂か。大変そう。 「結構高いんだろ、あの山」 「らしいよー。あたしこのヒールはやめよ。可愛くないけど、登山用の靴にしてくわ」  なるほど。  ――――……あれ、魔法って、使えないの? 「移動魔法って、使えないの?」 「あたしが行った所しか使えないから。山頂までのぼっちゃえば、帰りは使えるわよ?」  あ、そういえばそうだった。気がする。うん。  そっかー、じゃあルカ達は今日は登山かー。 「どんな山なの? なだらか?」 「結構急らしいのよー、あー、魔物より登山が嫌」  リアの声に、うんうん、と頷く。 「皆、頑張ってね」  そう言ったら。  不意に。 「お前も頑張るんだけど?」  ルカが、そう言った。 「――――……」  今、何と?  ぱ、とルカを振り返る。  オレの顔を見て、クっと笑い出して。 「お前も登山頑張れって、言ってんだけど」 「え?? オレ?」  リアたちが、周りでクスクス笑いだした。 「何、ソラ連れてくつもりなの?」 「オレも置いてくんだと思ってた」 「ソラ、聞いて無かったみたいだね……」  リアとゴウとキースがそれぞれ言って、笑ってる、けど。  笑い事じゃない。  ……え。嘘でしょ? 「……オレ、何で行くの? 役に立たないよ? てか、邪魔だよ?」 「お前置いてくと、ろくなことになんなそうだから、連れてく」 「何、ろくなことって。 オレ、何もしないよ」 「変な奴に連れてかれても困るし」 「誰もオレの事なんか連れてかないよっ。 あ、オレ、部屋に閉じこもってるから」 「ダメ。オレの側に居ろよ」 「えええー……嘘でしょ?」  全然行く気なかったんだけど。  皆の無事の帰りを、ここで祈ってる気満々だったんだけど! 「え、邪魔だと思うんだけど……オレ……」 「邪魔じゃねえから」 「……役立たずだと……」 「ごちゃごちゃうるせーな、来いっていってんだよ」 「――――……」  頬に触れられて、睨むみたいな瞳で見据えられる。 「分かった? ソラ?」  うう。 「……分かった」  頷くと、ルカは満足そうに笑って。   皆は苦笑いだった。  な、なんで??  あれだな、RPGのゲームやってるとたまにある、ゲストみたいな。  パーティの一番後ろにくっついて、歩いてて付いてまわるだけの、あれになる訳ね、オレ。  ゲームは、ただ後ろにくっついて、ピロピロ歩いてるだけだけど。  ――――……ここで、オレは。  自分の足で、山登り、するんだよね……。 「ソラ、帰りは、魔法で降りてこれるからね。行きだけ頑張って」  リアが、励ましてくれてるのか、そんな風に言ってくる。 「戦いで魔法使い切らなきゃ、だろ」  可笑しそうにゴウが言う。  はあ。とため息。  隣で楽しそうに、まだ何かの実を剥いてるルカを、じと目で見つめていると。  ぱく、と食べさせられた。 「この実はどうだ?」 「――――……これ、何?」 「ミルの実」 「……ん、甘くて美味しい」 「これとチョコの実、あと、さっきのお菓子も、そのバッグに入れて持ってっていいから。頑張れよ?」  クスクス笑うルカに。  オレは、はー、とため息をついて、頷いた。  ……て言っても、山登り位、した事あるし、何とかなるか、位の気持ちで。  

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