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「湖綺麗」

    無事に魔物を倒した報告をしに、町に戻る事になった。  リアの魔法で飛んでくれたから、帰りは楽ちん。  魔法って便利だなあ。  ほんとオレも使いたいなあ。  特訓すれば、使えるようになるかなあ。  町長の家を訪ねて、皆で報告をした。オレは、なんとなくくっついて横に居ただけだけど。  ものすごい感謝されてて。  夜、宴席を設けさせてほしい、と町長が言った。  最初は次の町にと言ってたルカ達だったけど、ぜひと言われて、まあ今日は登山疲れたし、休むか、という事になった。 「あたし疲れたから、宿に行って、夕方まで寝てくる」  リアがそう言うと、ゴウもキースもそうすることにしたらしく。 「ルカとソラはどうする?」  聞かれて、オレがルカを見上げると。  ルカはオレを見下ろして、じっと見つめた。 「――――……お前、寝たい?」 「ううん、眠くはないけど」  まあ。疲れたけど。  ていうかベッド行ったら寝るより、ルカに何かされそうな……。   「じゃあ――――……付き合え」 「ん、どこに?」 「少し歩いたとこ」 「? うん」  3人と別れて、町を出て、しばらくルカと一緒に歩く。  たまに魔物は出るけれど、ルカが一瞬で切り伏せる。  ほんとに強いよなー……。  オレがめっちゃイベントさせて、鍛えたから??  どうなんだろう、このルカは、オレが鍛えたルカなんだろうか??  もう、どこまで行っても確信は得られない問いなので、  考えない事にして、ルカの隣を歩く。 「どこ行くの、ルカ」 「つくまで秘密」 「――――……」  何だか楽しそうなので、黙ってついてく事にする。    しばらく歩いて、木々の下を進んだ先に。  ぱっと開けたのは。 「うわー! すっごい、綺麗! 何ここ」 「湖」  キラキラと光る水面。  眩しくて少し目を細める。めちゃくちゃ綺麗で、驚く位。 「湖? でっかー! 海みたい」  水際まで近づく。 「すっごい、水、綺麗!」  結構深いのに、下まで透き通って見える。 「結構有名な湖」 「そうなんだ、そうだよねー、ほんとすっごい綺麗だもん」  うわー。ほんと、なんか、最高に、綺麗。    思わず、水際にしゃがみこむ。  すると、ルカも一緒にしゃがんだ。 「ちっちゃい魚が居る。青いのと、ピンクのと……すごい可愛いなー…」  水際まで魚が居る。中まで行かなくても、いっぱい泳いでるのが見える。 「――――……」  黙ってたルカが、ふ、と笑う気配。 「?」  隣のルカを見上げると。  なんかニヤニヤしてて。からかうように眉が上がる。 「お前、ほんとに年上?」 「……そもそも年上と思ってるような喋り方じゃないけど」 「ソラに敬語使えっての?」 「……ていうか、敬語、使えるの? ルカ」  そもそも「敬語」を知ってた事に驚いてる位ですけどね、オレ。 「……使わねえかも」 「王子様だもんね、ルカ」  あれ、そういえば、今も「王子」? 「王様にはならないの?」 「ん?」 「王子ってリアが言ってた。 お城があるのに、王様にはなってないの?」 「――――……なんとなく。魔王を倒したら、即位式すっかって、話してた」 「――――……」  ……そうなんだ。  …………オレが邪魔してなかったら、今頃、王様になってたんだ。  そしたら、魔物も居なくなってて。  ……ルカ達が倒して歩く事も無くて。  むむ。  オレをあんな戦いのど真ん中に落とした何者かは、一体、何のために…。  ……つか、居るの? 何者か。  …………これは、夢なの? 「オレに敬語でしゃべって欲しい?」 「――――……」  トリップしてたら、ルカが面白そうに笑いながら、そう聞いてくる。 「ソラさん、とか?」 「――――……」  ぞわ。 「ごめん、寒気がしちゃった」  本気で身を震わせながら言うと、ルカが、ぷ、と面白そうに笑ってる。 「寒気、ねえ……」 「……っ??」  ルカの手が、する、と耳に触れて、そのまま、首筋をなぞった。 「ひゃ……」 「寒気よりも、気持ち良くて震えたいだろ?」  ななななな、何言ってんの、この人。  ぶるぶる首を振る。

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