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「懐かれちゃった」

    「みゃー」  みゃーって……なんだこれ。可愛すぎるんだけど。  猫なの? でも猫は空は飛ばない。  真っ白。ふわふわ。つぶらな瞳……。   「何、これ、ルカ」  オレが抱いてる生き物を見て、ルカが、ふ、と笑った。 「ミウっていう動物。野生だけど、たまに気に入った人間に懐いて、ペットになったりする。動物ってよりも、魔法で空飛べるし、魔物だな。でも、肉食じゃないし、温厚だし。食われないから安心しろよ」 「――――……」    そんな心配してない。  こんな可愛いのが人食べてたらホラーだ。  なんか。……ひし、としがみつかれている。 「――――……お前、懐かれた?」  ぷ、とルカが笑う。 「そいつさー、懐く人間に特徴があってさ」 「ふうん……?」 「……すげえ単純な奴が好きなんだよなー、ミウって。ソラ、単純が証明されたな?」  そんなこと言いながら、オレの頭をぐりぐり撫でてくる。  ……くっ。むかつく。 「みゃ」  ……可愛すぎ。え、これどうしょう。  マジで、メロメロに可愛いんだけど。  ルカにムカつくのも一瞬で、可愛すぎて、笑んでしまう。 「……え、これ、懐かれたら、どうしたらいいの?」 「飼えば?」 「いいの?」 「――――……いいんじゃねえ? 懐いてる間だけだし」 「すぐ離れちゃうの?」 「ずっとペットのも居るし、野生に戻るのもいるし。まあ、人に危害は及ぼさないし、ふわふわ飛んでて、その見た目だから、飼い主以外にも可愛がられてるって事が多いけど」 「えさとかは?」 「人間と同じものも食べる。実とか、穀類とか…外で勝手に食べてきたりもするし」 「夜は?」 「部屋で寝たり、外で寝たり、自由だな」 「……飼っていい?」 「――――……そいつに聞いたら?」  ルカが笑って言うので、オレはミウの顔を覗き込んだ。 「オレと来る?」  聞くと、みゃー、と嬉しそう。  ……可愛い。フワフワしてて気持ちいいし。 「飼うの決定か?」 「ルカ、ほんとに良い?」 「――――……夜は、別の部屋に置けよ? 邪魔されたくねーから」  くす、と笑ったルカにキスされて、そんな事言われる。 「それだけ守るなら、連れてっていいぜ」  シラフで恥ずかしいこと言わないでよ。  思いながらも、とりあえず、うん、と頷いて。    腕の中でふわふわ柔らかいその子を、よしよし、と撫でると。  みゃあ。  甘えたみたいな声。  出会って数分で、こんなに愛しい生き物って。  なかなか居ないと思ってしまう。    可愛すぎ。 「すげーな、ミウに認められるくらいかあ、お前」  横でムカつくこと言ってる勇者に、腹も立たないくらい、可愛い。  

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