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「宴」

 それからすぐに町長の家に入って、宴の席に通された。  うわー。ほんとに「宴」だー。  何か。何だろう。この感じ。よく分かんないけど、「宴」っぽい。  この世界にきてからの食事はほとんどテーブル席だったんだけど、絨毯がひいてある部屋に通された。  ほんとに、「宴」といったらこれかなと思うものが全てあるというか。  やっぱり茶色めだけど、わりと木の実とかで色が飾られていたり、オレンジの飲み物が出てきてたり。(リアの特製ジュースじゃない筈……)  わりと豪華なお皿に、料理が山と積まれて、酒も大量。  宴席みたいな、ステージみたいなところでは、綺麗なお姉さんたちが、踊ったり、楽器を弾いたり。  ほんとに「宴」なんだー!  なんかすごーーーい!!  わくわくしちゃうな、ゲームの中の、宴とか。  ……うたげうたげ言ってるけど、オレはこういうのに出るのは初めてで。  ルカはやっぱり王子様だからなのか、1人偉そうな感じで、一番前に座ってる。オレは、ルカから一番離れた席で、快く入れてもらえたミウと一緒に座ってた。ミウはオレの膝に乗ってて、オレがあげる食べ物を手から食べてる。  ペット入れるとかも、自由なんだ、良い世界だ。  ……ていうか、ほんとにこの子、めっちゃ可愛い……。  食べ方までなんか、可愛いし。  ちっちゃい手で押さえながら食べてるとか。  愛しさが全開……。 「ソーラ、メロメロすぎなんだけど」  隣のリアに、クスクス笑われる。 「あんまりミウにばっかり構ってると、ルカが怒るんじゃない?」 「――――……そんな馬鹿な……」  こんな可愛い物に怒る訳ない。  それに今ルカ、エライ人の席に居るし。  ……それに、さっきから色んな女の人にお酒つがれたりして楽しそうだし。  ……オレの事なんか、見てないし。  ていうか、オレはミウを見てたから、そんなにはルカの方、見てないんだけど。  目に入る度に、違う女の人が隣に居るし。  誘われてるんだろうなあ。と。思うけど。  ……まあカッコいいしな。  意地悪だけど。  ……まあ……たまに優しいしな。  大体横暴だけど。  ……めちゃくちゃそういう事好きだしな。  外でまで手ぇ出してくるほどだし。  …………女の子にモテるんだろうけど。  オレ、今日1人になるなら、ミウと寝ようかな。  は。ミウミウ言ってるけど。  そういえば、名前……。 「お前、名前、何がいい?」 「みゃ?」  ミウは、オレが話しかけると、つぶらな瞳で、見上げてくる。 「リア、ミウって、言葉分かるの??」 「……どうだろう。魔物の中には喋れるのも居るから……でもミウは、ずっとみゃあよね。しゃべれないけど、言ってる事は分かる……のかなあ?」  リアは、ミウを見ながら話してたけど、最後の方は、クスクス笑いながらミウを撫でた。 「あー、可愛い。なんかソラと居ると、余計可愛く見えるのは何でかな?」  どういう事? 何それと首を傾げていると、「いいのいいの、ソラが可愛いって話だから」 クスクス笑いながらリアがそう言う。 「んー、さっきからソラが話しかけると、みゃあみゃあ言ってるから、自分に話しかけられてるのは分かってそうだけど……そもそも、ほんと、ミウがレアなのよ、あんまり生態知られてないよ」  リアがミウを見つめて笑った。 「そうなんだね……」  オレを見上げてるミウをよしよしと撫でながら。 「名前、ミウのままの方がいい?」  聞くと、ミウは、「みゃ?」と首を傾げる。  分かってるのか分かってないのかは、分かんないけど――――……。 「……めっっっちゃ可愛い……」  すりすり頬を摺り寄せていると。 「その子ってもしかして、ミウちゃんですか??」  踊ってた女の子達が出番を終えて降りてきて、オレとミウの近くに座る。  ステージみたいなところでは、また別の出し物が始まってる。  こんな町に、こんなに踊ったり色々できる人達、良く居るなあ。  と思いながら。 「あ、うん。そう。ミウだって」  答えると、きゃあきゃあ騒ぎだす女の子達。 「可愛すぎー!」 「触らせてくださいー!」  ミウはふわりと抱き上げられて、普通に抱かれてる。  あ、嫌がる訳じゃないんだ。特別にはなかなか懐かないってだけなのかな。撫でられて、可愛い顔見せてるし。  さっきルカが、周りの人にも可愛がられるって言ってたもんね。こういうとこかな。  ほんと、可愛いな。  ミウがめちゃくちゃ人気あるのを、クスクス笑いながら見ていたら。  隣に座ってた女の子が、「お酒どうぞ」と差し出してきた。 「あ、オレちょっとでいいから」 「そうなんですか? 一緒に飲みましょうよ?」 「でも……」  あんまり飲むと、なんかルカに言われそうな……。  ……ふとルカを見ると。さっきから同じ女の人が隣にいるし。  ……あの人になってから長いなー。  気に入ったのかな。  ……じゃあ、いっか。 「じゃあちょっとだけ」  差し出してくれたお酒を受け取って、一口飲んでみる。 「わ、これ美味しい」 「この地方の果物のお酒ですよ。甘くて美味しいでしょ?」 「うん。飲みやすいし」 「もっと飲みますか?」 「うん、ありがとー」  それから、ミウがいっぱい可愛がられてるのを見ながら、  どんどん注いでくれる甘いお酒を飲みながら、とっても楽しい時間を、過ごした。  

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