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「頭痛い」+「ルカside」

「……う……ン……」  ――――……頭。痛い……。  すごい、ガンガンする……何で?  俯せに、オレは寝ていた。  頭が痛すぎて、起き上がれない。 「……痛、い……」  思わず、呟く。  すると。 「どこが?」  そんな声が近くから、聞こえて。 「……あたま……」  答えると。  そっと、撫でられる。 「しょーがねえな……」  …………あ、これ――――…… ルカ、か……。  声のする方になんとか顔を向けて、うっすら瞳をあけると。  片肘をついて、こっちを向きながら、ルカが隣に寝てて。  空いている手で、頭に触れていた。 「――――……飲みすぎなんだよ。あの果実酒、甘いけど、オレが飲んでた酒より、強いんだぞ……」  そうなんだ……つよかったんだ……ジュースみたいに飲んじゃった……。 「バカだなほんとに。飲んでて分かんねえのかよ……」  そんな声が聞こえるけど――――…… 頭が痛すぎて……。    呆れたみたいな言い方だけど。  手が優しくて、うとうと、する。   「……みう……は?」 「お前、口開けば、ミウミウって……」  すごい苦笑いしてる気がする。 「そこ、浮いてる」  そこって、どこ……?  頭は痛いし、体は重いし、まったく動きたくないけど、ミウ見たさで、必死で、動かす。上を見上げると、何だか、丸まった白い物がほわほわ浮いてて。  ……ああやって寝るんだ…… かわいー……。  死ぬほど、頭痛いけど、笑っちゃう。 「かわい……」    そのぽわわんとした可愛い姿を映したまま。  仰向けのまま、またふと、記憶が途絶えかけて――――……。 「……ソラ?」  ルカの声。  頬に触れる手。  ――――…… あったかい……。 「……る、か――――……」 「――――……」  なんか、ほっぺ、ぷにぷに摘ままれてる。  なに、すんだよー……。  言おうと思うけど――――……もう声、出ない。  そのまま、落ちた。 ◇ ◇ ◇ ◇ 【side*ルカ】 「また寝た……」  ……今夜はダメだな、これ。  触れてた指で、結構強く、頬をぷにぷに摘まんでみるけれど。  ぴくりとも動かない。 「ミウミウって、うるせえっつーの……」  まあ。最後にオレの名前呼んだから……まあ。許すけど。    にしても、こいつ、絶対ぇ酒弱いな。  飲ませるの、1杯までにさせるか……。  特に果実酒注意だな。  ……甘いからって、こんななるまで飲むとか。 「バカなのか? お前……」  言いながら。  何だか、笑ってしまう。  頭が痛いと言っていた。今、眉が寄ってるのもそれか?  少し起き上がって、ソラの顔の横に腕をついて、ソラを下に囲う。 「――――……」  無邪気なツラして。  ――――……しらねえ世界で、よくこんな前後不覚で眠れるよな。  ……やっぱりバカなのか?  思うけれど、やっぱり、笑みが浮かんでしまう。  ゆっくり。ソラに、口づける。  少し開いてる口に、舌を挿し入れて、ぺろ、と舌を舐めたら。ん、と声が漏れて。少しだけ、応えてきた。  けれどすぐに力を失って、すー、と眠り始める。 「――――……」  唇を離して、少しの間見つめてから、ソラの上からどいた。  隣でまた片肘をついて横向きで、ソラを見下ろす。  ――――……は。……なんなの、お前。  ――――……こんなバカなの。可愛いとか。オレも、意味わかんねえな……。    こいつ置いて――――……   ……女のとこ、行っても良いんだけど。  スヤスヤ寝てるソラと。  プカプカ浮いて寝てるミウと。順番に目に入ってくると。  ……最初にミウが降りてきた時にも思ったけど。  なんか、こいつら似てる。  自然と、ぷ、と笑ってしまう。  ――――……まあ……今日は、いいか。これで。    そのまましばらくソラを眺めて。  いつの間にか、眠っていた。

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