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「相性いい」

   朝一から、嵐みたいな時間が過ぎて行って。  終わって落ち着いたオレは、魔法でまたオレを清めたルカに背を向けて、膝を抱えて座った。 「っもうもう、ルカ、朝からきついってば。明るいとこで、あんな、恥ずかしいんだよっっ」 「……お前がいけないんだよ」 「え? ……オレが何?」  あんまりな言葉に、振り返って、ちょっと睨んでしまう。 「朝起きたら、すげえすり寄ってきてるから。なんかすげえしたくなって」 「……っ」  かあっと赤くなってしまう。  何してんの、寝てるオレ!  ……ていうか、記憶ないんですけど! 寝てたんですけど!  むー!と膨らんでると。  ルカの大きな手が、オレの頭を撫でる。 「気持ちよかったろ?」 「――――……っ」  死ぬほど気持ち良すぎて、死ぬかと思ったっつーの……!!  っだから文句言ってるのに……っっ。  オレの顔を見て、ルカはクスクス笑い出した。 「分かった。今度、お前が言う通り、抱いてやるよ」 「え」  恥ずかしさ9割の怒りがぴた、と止まる。 「……オレの、言う通り?」 「いやだって言う事はしないし。すげえ優しくしてやるから」 「――――……ほんとに?」 「ああ」 「……分かった」  ルカが優しく抱いてくれるとか。  ……貴重かもしれない、かも……。  …………って。オレってば。  されることは、完全にオッケイしてるな……。 「許した?」  くす、と笑って、ルカがオレの頭をまた撫でる。  もういいや。  ……怒っててもしょうがないし。 「……うん」  頷くと、ルカはクスクス笑って、オレの頬にちゅ、とキスした。 「――――……酔っ払ったお前をさ」 「ん?」 「おんぶしてやったんだけど、知ってる?」 「……んー……あ、うん。そういえば……」  そういえば。揺らされてたの、思い出した。 「礼が欲しいなー」  めちゃくちゃ、きょとん、としてしまう、オレ。  ……何、その可愛い言い方。  さっきまで、あんなに激しかったくせに。  人の事、翻弄しまくっといて。  絶対今、キスしろって、言ってるよね? 「――――……」  ……ルカって。  ほんと、意味わかんない。  思わず、くす、と笑ってしまう。  ルカの腕に手を触れさせて、少し背を伸ばす。  オレをじっと見つめたままの、ルカに顔を寄せて、ちゅ、と口づける。  さっきあんなに、やらしいことしたのに。  ちょっとだけするキスで、お礼、とか。  意味わかんない、なあ。  で、ほんとにキスしてるオレも、よく分かんないけど。  しばらく触れ合わせて。  そっと離れると。ぐ、と背中に手が回ってきた。  ふ、と瞳を開けると。  ルカに見つめられて、首を少し振られた。 「――――……」  ――――……何だかなあ、もう。  もう一回、触れ合わせて、そっと舌を絡める。  見つめたままでいた瞳が、ふ、と緩んだ。  ――――……ドキ。  何か。急に。  胸が弾んだ。  ……嬉しいの? こんなキス。  何だかなぁ。ルカ。  ごくたまに年下っぽいかもしれない。……何なの。ほんと。  オレからキスしてる間は、ルカからの激しいのは、来ないのかな。  今は、オレにさせて、それを楽しんでるみたいに、見える。  しばらく、キスして。  離す。 「……連れて帰ってくれて、ありがと、ルカ」  そう言ったら。  ふ、と笑ったルカに引き寄せられて、ぎゅー、と包み込まれた。 「ここで飯食べるか? 持ってきてやろうか?」 「――――……ううん。皆と食べる」 「……まだ早ぇし、もすこし、休むか」  抱き締められたまま、ころん、とベッドに転がされて、向かい合う。  髪と頬を、優しく撫でられる。 「――――……オレ、何でこんなにお前に欲情すんだろ」 「…………っっっ!」  …………ぼぼぼっ!!  優しく撫でながら、なんてこと言うんだ。  想定外すぎて、一瞬で真っ赤になる。 「……普段ここまでしねーんだけどな。なんか、一晩やるとか、すごくねえ?」 「………っ」 「お前、したことある? 女と一晩」  …………あるか!! 「――――……相性、いいよなぁ、お前とオレ」  むぎゅ、と抱き寄せられる。  相性。  いい、か……。  ………………否定は。  ――――……しない、けど。  何でか、すごく、安心する、し。  ……すっぽり抱きしめられたまま。  しばらく何となく瞳を伏せていると。またウトウトし始めてしまう。    撫でてくれる手の、温かさに、また、眠ってしまった。

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