62 / 290
「痕」
次、目覚めたら。
まだルカの腕の中だった。
「おはよ……」
「ん。良く寝てたな」
そう言われて、あ、とルカを見上げる。
「……ルカ、今日、忙しくないの?」
「……次の町に行くけどな?」
「良いの? 寝てて」
「どーせゴウも昨日あの後盛り上がってたろうし、キースは分かんねえけど一緒には帰ってきてねえし。昨日はリアだけじゃねえの、ゆっくり眠れたの」
「そっか」
「でもそろそろ起きるか」
「うん」
ルカの声にむく、と起きると。
そっか、全裸なのか、オレ。
服は……と思ったら、自分の隣に置いてあって。
着ようと思って、首を通す所を探していたら。
「ソラ」
「ん?――――……?」
ふわ、と頬辺りにルカの髪の毛が触れて。
首筋に――――……。
「っ……!」
咄嗟にちょっと痛かった首筋に触れる。
「痛い……なに?」
「……痕つけてみた」
「――――……っ」
「オレのっつー、痕」
くす、と笑ったルカに、よしよし、と撫でられる。
「肌白いから、すぐ残る。 可愛いな、ソラ」
「~~~……っ」
何か言いたいけど、適当な言葉が見つからず、むう、と膨れた後、はー、と息をついた。
あ。そうだ。
「――――……ルカ」
「ん?」
ベッドの端に腰かけて、腰の紐を結びながら、ルカがオレを振り返った。
よいしょ、とルカに抱き付いて。
あーん、と口を開けて。
ルカの首筋に。
がぶ、と噛みついてみた。
「痛っ――――……? ソラ?」
「ルカ、白くなくて付かなそうだから、オレは歯形をつけてみ……」
ぐい、と手首を掴まれて、引き寄せられる。
「――――……っ?」
どさ、とベッドに背中を押し付けられて。
「……る、か??」
「――――……そういうのさー。しない方がいいと思わねえの?」
言いながら、ルカがオレの唇を塞ぐ。
「だ、って、ルカが、した、からっ」
「オレは、オレのっつー痕だって言ったろ」
「……っ」
「オレも、お前のって事?」
…………っっ!
わーん、オレのバカ!!
仕返しのつもりで、歯型の方が目立つからざまーみろくらいのつもりでやったら。
…………っていうか、興奮しそうなの、何で分かんないんだ、オレ―!!
バカ―!!
「そういうの、すげえそそるよなー……」
「んっ……ん、ンむ……っ」
めちゃくちゃキスされて。
力、入らなくなって、キスを受けてたら。
「……なんでそんなバカなんだ? ソラ」
クッと笑われて、そんな言葉を囁かれて。ムッとして、目を開けると。
言葉とは違う、優しい視線が絡んで。
「――――……んと、バカだなー、ソラ……」
くす、と笑われて。
今度は、ゆっくりキスされる。
ドキ。ドキ。
するのは。
何で、だろう。
コンコンコン、とノックの音。
「ソラー、外フワフワしてたミウが、いっぱい子供達を引きつれて外に戻ってきてるよー。お迎えにおいでー」
「…………あ、はーい! すぐいくー」
リアの声に、返事をしてから。
「……こどもたちひきつれてって?」
首を傾げてルカを見ると。
「ミウ、珍しいし、子供にも人気あるんだよ。懐いた奴が居ない町には、ミウはそもそも降りても来ねえから、近くで見れるの嬉しいからついてきたんじゃねえの?」
「ミウって、オレに懐いてるから、ここの周りにいるの?」
「そうだと思うけど」
「……かわいーなー……」
クスクス笑ってると。
ふ、と息を付いたルカが、オレの頭から服をかぶせた。
「わ」
「ほら。迎えにいくんだろ」
言われて袖を通すと、ふわと抱き上げられて、ベッドの下に降ろされる。
紐でウエスト、縛られて、下着を渡される。
――――……なんかルカって。いっつも服、着せてくれる気がする。
なんか。姿かたちとしゃべり方にあわず。……面倒見、良い、よなあ。
「ソラ」
下着を履いた所で呼ばれて、振り仰ぐと、ちゅ、とキスされる。
「――――……歯形、ついてる?」
「――――……」
どうだろ、とルカの首筋を覗き込むと。
わりとくっきり。
「うん。ついてる……」
「……お前さ、それ、お前が付けたって、皆分かるけど、それはいーのか?」
「――――……っ……良くない」
何も考えてなかった!
全然良くないぞ!
「って言われてももうしょうがねえけど」
可笑しそうに笑いながら、ルカが立ち上がる。
「ほんと、バカだな、ソラ」
笑いながら振り返る、ルカ。
――――……鮮やかな、笑みに。
ドキ。として。
「――――…………っ……」
――――…………うん。
もう。意味が分からないから。
早く、ミウの所にいこっと。
ともだちにシェアしよう!