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「痕」

     次、目覚めたら。  まだルカの腕の中だった。 「おはよ……」 「ん。良く寝てたな」    そう言われて、あ、とルカを見上げる。 「……ルカ、今日、忙しくないの?」 「……次の町に行くけどな?」 「良いの? 寝てて」 「どーせゴウも昨日あの後盛り上がってたろうし、キースは分かんねえけど一緒には帰ってきてねえし。昨日はリアだけじゃねえの、ゆっくり眠れたの」 「そっか」 「でもそろそろ起きるか」 「うん」  ルカの声にむく、と起きると。  そっか、全裸なのか、オレ。  服は……と思ったら、自分の隣に置いてあって。  着ようと思って、首を通す所を探していたら。 「ソラ」 「ん?――――……?」  ふわ、と頬辺りにルカの髪の毛が触れて。  首筋に――――……。 「っ……!」  咄嗟にちょっと痛かった首筋に触れる。 「痛い……なに?」 「……痕つけてみた」 「――――……っ」 「オレのっつー、痕」  くす、と笑ったルカに、よしよし、と撫でられる。 「肌白いから、すぐ残る。 可愛いな、ソラ」 「~~~……っ」  何か言いたいけど、適当な言葉が見つからず、むう、と膨れた後、はー、と息をついた。  あ。そうだ。 「――――……ルカ」 「ん?」  ベッドの端に腰かけて、腰の紐を結びながら、ルカがオレを振り返った。  よいしょ、とルカに抱き付いて。  あーん、と口を開けて。  ルカの首筋に。  がぶ、と噛みついてみた。 「痛っ――――……? ソラ?」 「ルカ、白くなくて付かなそうだから、オレは歯形をつけてみ……」  ぐい、と手首を掴まれて、引き寄せられる。 「――――……っ?」  どさ、とベッドに背中を押し付けられて。 「……る、か??」 「――――……そういうのさー。しない方がいいと思わねえの?」  言いながら、ルカがオレの唇を塞ぐ。 「だ、って、ルカが、した、からっ」 「オレは、オレのっつー痕だって言ったろ」 「……っ」 「オレも、お前のって事?」  …………っっ!  わーん、オレのバカ!!  仕返しのつもりで、歯型の方が目立つからざまーみろくらいのつもりでやったら。  …………っていうか、興奮しそうなの、何で分かんないんだ、オレ―!!  バカ―!! 「そういうの、すげえそそるよなー……」 「んっ……ん、ンむ……っ」  めちゃくちゃキスされて。  力、入らなくなって、キスを受けてたら。 「……なんでそんなバカなんだ? ソラ」  クッと笑われて、そんな言葉を囁かれて。ムッとして、目を開けると。  言葉とは違う、優しい視線が絡んで。 「――――……んと、バカだなー、ソラ……」  くす、と笑われて。  今度は、ゆっくりキスされる。  ドキ。ドキ。  するのは。  何で、だろう。  コンコンコン、とノックの音。 「ソラー、外フワフワしてたミウが、いっぱい子供達を引きつれて外に戻ってきてるよー。お迎えにおいでー」 「…………あ、はーい! すぐいくー」  リアの声に、返事をしてから。 「……こどもたちひきつれてって?」  首を傾げてルカを見ると。 「ミウ、珍しいし、子供にも人気あるんだよ。懐いた奴が居ない町には、ミウはそもそも降りても来ねえから、近くで見れるの嬉しいからついてきたんじゃねえの?」 「ミウって、オレに懐いてるから、ここの周りにいるの?」 「そうだと思うけど」 「……かわいーなー……」  クスクス笑ってると。  ふ、と息を付いたルカが、オレの頭から服をかぶせた。 「わ」 「ほら。迎えにいくんだろ」  言われて袖を通すと、ふわと抱き上げられて、ベッドの下に降ろされる。  紐でウエスト、縛られて、下着を渡される。  ――――……なんかルカって。いっつも服、着せてくれる気がする。  なんか。姿かたちとしゃべり方にあわず。……面倒見、良い、よなあ。 「ソラ」  下着を履いた所で呼ばれて、振り仰ぐと、ちゅ、とキスされる。 「――――……歯形、ついてる?」 「――――……」  どうだろ、とルカの首筋を覗き込むと。  わりとくっきり。 「うん。ついてる……」 「……お前さ、それ、お前が付けたって、皆分かるけど、それはいーのか?」 「――――……っ……良くない」  何も考えてなかった!  全然良くないぞ! 「って言われてももうしょうがねえけど」  可笑しそうに笑いながら、ルカが立ち上がる。 「ほんと、バカだな、ソラ」  笑いながら振り返る、ルカ。  ――――……鮮やかな、笑みに。  ドキ。として。 「――――…………っ……」  ――――…………うん。  もう。意味が分からないから。  早く、ミウの所にいこっと。

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