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「ミウ大人気」

   ルカと一緒に宿屋の前に出ると、ほんとに子供達をいっぱい引き連れて、ミウがフワフワ浮いていた。子供たちが、頭上で浮いてるミウを、一生懸命見上げている感じ。 「ミウ」  なんか可愛くて、そう呼びかけると、ミウは「みゃ?」とこっちを見て、オレと目が合うと、ふわふわーと近づいてきて、オレの腕の中に、ほわん、と入り込んできた。 「何それー! すっげー可愛いー!」 「いいなーお兄ちゃんのミウなの?」 「どうやったら懐いたの?? えさあげたとか??」  オレの腕にひっついてるミウを撫でながら、子供達がめちゃくちゃ迫ってくる。 「え。どうやって??」  ……どうやってって。  外でルカに、……とんでもないことされてたら。上を飛んでて。  終わって、キスされながら、探してたら、ふわふわと、降りてきて……。  ――――……とてもじゃないけど、こんな、キラキラした瞳の子供達に、こんな事、言えない。 「どうやってとか、ない、かなあ…… ふわふわ、腕の中に入ってきたんだよ」  うん。嘘は言ってない。  そうだったよね。  特に何もしてないんだよな――――……。  そう言うと、リアがクスクス笑いながら、子供達に笑顔で言った。 「ミウは、優しい人に懐くから、君たちも、良い子で優しい子に育てば、いつか、懐いてもらえるかもよ?」  そんな風に言われると、ちょっと恥ずかしいけど。 「へーーーーー!」 「そうなんだー!」 「お兄ちゃん優しい人なんだねー!」 「あたしも優しい人になるー!」  ……ああ、子供って。  素直だなあ。 「ねえ、お兄ちゃん、このミウの名前はなあに?」  元気な男の子がそう聞いてくる。 「まだ名前は決めてないんだ」  そう答えると、子供達、これから決めるんだね、とウキウキしてる。  名前やっぱりあった方がいいのかな……とオレが思ってると。 「お兄ちゃんもミウもこれから朝ごはんだから、皆おうちに帰って」  リアがそう言うと、子供達、はーいと、良い子な返事をして、帰って行った。  リア、子供の扱い、うますぎる。 「ありがと、リア」 「いえいえ~。ゴウたち、先に食べてるとか言ってたから、宿引き払ってきて。食べ終わったら町長に挨拶して、そのまま次の町に行こうって」 「うん。分かったー」  リアが先に歩いて行くのを見送ってから、くるっと振り返った。 「――――……思ってた以上に引き連れてきてたな」  宿屋のドアの横に背中を預けたまま、オレ達の様子を見ていたルカが、クスクス笑った。 「うん。ミウって。大人気なんだね」 「――――……まあ。可愛いからな」  そんなルカの言葉に、おや?と思わず見つめてしまう。 「ルカも、ミウの事、可愛いって思うの??」 「まあ。そのフォルムは、可愛いと思うだろうって事だけど」 「ルカはどう思ってるの?」 「まあ……可愛いんじゃねえの」  ふ、と笑いながらルカがそう言う。 「わー、意外。ルカも、可愛いって思うんだー、へー」  ルカみたいな奴でも、可愛いって思うんだー、へー、へー、  意外ー。  まあ。……めちゃくちゃ可愛いもんね、うんうん、分かる。  腕の中のにひっついてるミウを、よしよしと撫でていたら。  ふと思いついて。 「抱っこしたかったらいつでも言って、撫でてもいいよ、可愛がっていいよー? ……似合わないけど。ぷぷ」  なんて言って、クスクス笑っていると。  ルカにぐい、と引かれて。とん、と壁に背を押し付けられた。  え、と見上げたら。 「――――……っ……っ?」  そのまま、キスされて。驚いてる間に、舌が、ゆっくり絡んで。  びっくりして、ルカを見つめていると。  そっと唇が離れた。 「――――……オレは、お前抱く方が良い」 「…………っミウの真上で何するんだよっ」 「……ん? どーいう意味?」 「こんな可愛い、純粋な子の真上で、こんな……」 「……ミウって超長生きらしいし、こういう事知ってるだろうし大丈夫だろ。まあそいつが何才かは分かんねえけど。大体、最初にミウ見つけた時だって、オレ達――――……」 「わーわーわー!! ルカのバカ―!! デカい声で話すなー!」  ミウの耳を塞ぎながら叫ぶと。  ルカが、クックッと体を揺らして笑い出した。 「お前、ほんと面白……ちょっとオレ荷物取ってくるから、待ってろ」  オレの頭をぐりぐり撫でながら。  クックッとまだしつこく笑いながら、宿屋の中に、ルカが入っていく。  もう。  ルカのバカ!  ……にしても、超長生き、なんだ。  こんな感じでのどかに長生きするのかーと思うと、それだけで可愛い。  ……でも分かんないよね、このミウは、子供かもしれないし。    「ミウ」でも良いけど… 可愛いんだけど。 「……お前の名前、どうしようか? オレが決めてもいいのかな??」  そう話しかけると、ミウは、みゃ?とオレを見上げる。  ああ、もう、可愛いなぁ。  ルカが来るまでの少しの間、2人で見つめ合ったまま、過ごしてしまった。  

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