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「オレのオレのって」

 3人で町の中心部に戻ると。   「あ?」 「あれ? もしかして」 「見つけたんだね」  町の広場に居た、ゴウとリアとキースが、アランを見て、同時に言った。  その後、見つけた事を知らせる鐘が鳴って、町総出のアラン捜索は終わった。 「恥ずかしーなー、もう」 「お前が女のとこ、渡り歩いててどこにいるか分からないとか言われてるからだろ」  嫌そうなアランに、ルカが笑いながら言った。 「つーか、オレを探しながらずっといちゃついてる人に、そんな事言われたくないんだけど」 「それこそ余計なお世話だな」  その会話を聞きながら、めっちゃ嫌だ、と思っていると。  隣に居たリアがクスクス笑った。 「いちゃついてるとこ、アランに見られちゃったの?」 「…………」  何も答えられずに、固まってると、リアが可笑しそうに笑った。 「もう、ソラ、全部顔に出る。何いちゃついてたって、どこまでしてたの?」 「……っ キスだけ」 「何だ、キスだけ? 全然セーフじゃない、そんな恥ずかしそうな顔するから、てっきり最後までしてたのかと」 「……っっっ」  もうリアも、全然恥ずかしそうでもないし。  なんでオレが赤くならなきゃいけないんだ……っ。 「お前、ほんと、これ位の会話で何でそんな赤くなるんだよ?」  ゴウにまでからかわれる。 「オレらとタメなんだろ? ……嘘ついてる?」 「ついてないよっっもう!」 「もう結構な回数ルカとやってるだろ? 慣れてきたんじゃねえの?」 「……っっ」  もう無理もう無理、この人達。  抱いてたミウに、顔を半分以上埋めていると。  キースが、ふと、オレを覗き込んできた。 「何だか、ソラ、また泣いた?」  じっと瞳を見つめられる。 「赤いよ、目」 「……うん、ちょっと。泣いた」 「何かあった?」  キースがじっと見つめてくる。  あ。緑色。見えちゃった。  ……ルカに、瞳の色が分かる位近くで覗くなって、言われてたけど。    でもこれは不可抗力だよね……。 「ミウがオレを飛ばせてくれたんだけど、怖くて離してって言っちゃったらほんとに離されて……ルカが助けてくれたんだけど、オレ、かなり上まで浮いてたから、もうルカ、つぶしたかと、思って……」 「――――……で、ルカつぶれてないって事は、魔法が間に合ったって事かな?」  クスクス笑うキースに、うん、と頷く。 「そぅ。でも、ギリギリだったみたいで」 「それで、ソラは、何で泣いたの?」 「ルカの事、つぶしちゃったのかと思って……。つぶれてなくて、ほっとしたら……」  キースは、ぷ、と笑って、オレの瞼にそっと触れた。  ふわ、とあったかい。 「どう?」  泣いた後の、微妙に目が痛い感じが、綺麗になくなった。 「わ、ほんと凄い、キース。すっきりしたー、ありがとう」 「どういたしまして」 「すごいなー、キース、オレの世界に行ったら、もう神さまだと思うよ」 「そうなの?」 「うん、崇められちゃうと思う」 「そっか」  クスクス笑いあっていると。 「近いっつーの」  またまたルカが邪魔しに来て、キースと離される。  もう、ほんと、この人、何なの。 「目が痛かったの、キースが治してくれたんだってば」  オレがそう言うと、ルカは、一瞬止まってオレの目を見て。  それから、ふとキースに視線を流した。 「ありがとな、キース」  そう言ってる。  ……ていうか。 「何でルカがお礼言うの?」 「何でルカにお礼言われたの?」  オレと、キースが同時にそう言った。  同じ事が疑問だったみたいで。  また、キースと顔を見合わせて、ふ、と笑いあってると。 「ソラ、オレのだし。……オレのを治したんだから、礼、言うだろ」  いともたやすく、照れも一切なく、言ってのけた。 「……………………っっっ!」  聞いてた皆、苦笑いというのか、ニヤニヤ笑いというのか。  皆は、笑ってたけど。  オレは、意味が、ちゃんと伝わってきた途端。  ボッと、一気に顔に熱が集まる。  ……は、恥ずかしいな、ルカっ  何なの、ずっと、オレのオレのって!!  しかも、何でこんな事言われて、  嫌がらずに、赤くなってんの、オレ。  ああもう。  ……ルカって、ほんと恥ずかしい。    オレはまた、ミウを抱き締めて、埋まった。      

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