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「世話焼き」

   ルカがじっと見つめてくる。 「お前、気分は?」 「……もう大丈夫」  頭も痛くないし。  少し寝たからかな。 「酒の前に、ちゃんと飯は食ったのか?」 「うん、ちょっとは食べた。ミウにも食べさせたし」 「腹空いてないか?」 「うん。ていうか、なんか、ルカ……たまにお母さんみたいだよね」  思ったままを言ったら、隣に居た皆が、いきなり、めちゃくちゃ笑い出した。 「ほんと、ルカが世話して甘やかしまくりなのが、理解できねーよな」  ゴウが笑いながらルカに言って、ルカはちら、と視線を流しただけでスルーしてる。 「大丈夫、全員理解できないから」  リアがゴウに言って、それからキースにも、ね?と声をかけている。  キースは何も言わず、でもクスクス笑ってる。 「つーか、母親って……誰がだよ」  む、としながらルカが言う。  え。だって。と思った瞬間。  いきなり腕の中に抱き込まれて、唇が重なった。 「……んっ……? ……っん、んっ……」  ――――……何? なになになに……っ???   完全に抱き込まれて重なられてるから、多分、キスしてるとこは、見えてはないと思いながらも、狼狽えながら、瞳を開けて、ルカを見ていると。  瞳を開けたルカが、ふ、と瞳を緩めて笑って。  唇を離した。 「……母親じゃねーし」 「…………っ」  そ、んな事の為に、こんなキス、したのか。  皆は、プ、と吹き出しながら、苦笑いしてるし。  ――――……っっっほんとに、もう。  どう考えてもこのゲームって、作られたのは日本なのに、  ルカって、人前でキスするのとか全然平気だし、外人かよっ!!  …………って、名前ルカだもんな。外人設定なのか??  オレはまったく普通の純日本人だからっ。  もう、ほんと、恥ずかしいったら。  真っ赤になってると、ルカがクスクス笑う。 「なんかこの町の北に、妙な花畑が急に広がってるらしくて。それ見に行くぞ。歩けるか?」 「……うん」  なんだろ妙な花畑って?  思いながらも、頷く。 「あんまりちゃんと食ってねーなら、あそこから何か持ってきな」 「――――……んー……じゃあちょっと見てくる。ミウもおいでー?」  降りてきたミウと一緒に、食べ物を見に行こうとして。  ふと、ルカを振り返った。 「ルカは食べたの? ずっと話してたけど」 「……オレはお前が寝てる間に食べたよ」  ふ、とルカがすごく優しく笑うので、ん、と頷いて、背を向けた。  ――――……オレの世話ばっか焼くから、オレもちょっと気になって、軽く聞いただけなのに。  そんなに嬉しそうに笑われると。  …………なんだかな。もう。  恥ずかしくなっちゃうし。  ミウをぎゅ、と抱っこして、なんかモヤモヤする気持ちをなだめた。    

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